スペース

 アメリカでもヨーロッパでも、ボーダーコリーを飼うには「自由に走り回れるスペースが必要」と聞く。個人的には、それが飼育の必須条件とは思わない。日本の狭い住居で暮らしていても、充分に運動し健康で性格の良い子はたくさんいるからだ。
 確かに、ルーシーを広い場所に連れて行くと、表情がぱぁっと明るくなる。広い場所では自分を走らせてもらえると思っているからだ。独りのアホ走りでもディスクでも、走り回った後のガハハ笑いを見ると自然に頬が緩む。走ったり、運動したりすることはボーダーコリーにとって楽しいらしい。だから広い庭があったら外出せずに必要な運動ができるのだから、良いだろうなとは思う。だから「日本のボーダーコリーは可哀想」と言われちゃうのかも。

 だけど、運動は庭を走ることだけじゃないと思う。飼い主と屋外をのんびり散歩する。リードを着用して走る。リビングでダンスを踊る。それだって立派な運動だ。また屋外に出ることは、体を動かす以外の楽しみもあるのではないか?いろんな人々や犬に出会いニオイを嗅ぐ。ニオイを嗅ぐことだって、犬にとっては楽しいことらしいね。イノシシのフンのニオイを嗅ぎ、バッタを追いかけ、雑草を食べる。・・・全部が全部良い事じゃないけど(笑)。一生を通じて自宅と庭以外の刺激を知らない事が、果たして幸せなんだろうか?
 「疲れたワンコは良いワンコ」。昔のシツケ教室でN先生がよく仰っていた言葉だ。運動して疲れた子はストレスが少ないから、性格が良く、問題行動を起こすことが少ないのだそうだ。
 特に、飼い犬が必要運動量が全犬種中でダントツ第一位のボーダーコリー(ある表によれば、歩く散歩では最低1時間。できれば毎日2回)だと、疲れたワンコにすることだけで、かなり骨が折れる。ちなみに、私は昔ルーシーと毎日2時間半〜3時間を散歩して腰痛持ちになった。だから自分が疲れてくると、ディスクで遊んで相手だけを疲れさせるようにしている(笑)。それでも、自主的に休みを入れるため、なかなか疲れてはくれないけど。あ、もしかして自由に走り回れるスペースを与えるのは、飼い主の腰痛予防策?


 こんな事を言えるのは、私らが恵まれた環境にいるからか?おそらくそうだろうと思う。だけど日本にいる賢くて性格の良いボーダーコリー(むろんルーシー以外)を見る限り、自宅に自由に走り回れるスペースがあることは、絶対必須条件ではないと思う。うん、それは間違いない。