どうしたもんかいな?

 「Iさんは、ルーシーを褒めすぎます」とA先生。
思わず、ダンス中に止まって「えぇぇ?」と声が出た。
 前回の授業で苦手なクリープを練習していたところ、先生から指摘を受けた。ルーシーは苦手な技については、コマンドを出しても反応が鈍い。だからコマンドを出して直ぐに従ったら「そう!」とか「良いよ〜」と声をかけるようにしていた。ところが、ルーシーは「OK(終了)」と自分に都合良く解釈して、立ち上がったり動作を止めてしまったり。
 本来「そう」も「良いよ」も、「君のやっていることは正しい。続けなさい」ということだ。こっちは褒めていそうで、褒めてはいない・・・つもり。動機をアップさせるために声かけは必要なんだけど、最近は、どうも声かけ作戦が裏目に出てしまうことが多い。
 個人的な考えだけど、犬は本来ダンスや服従訓練なんかしたくないんじゃないかな?走り回ったり、ガジガジ噛んだり等、本能的にやりたい事ではない。それを敢えてやらせている訳だから動機付けは必要だろう。声かけや体をポンポンと優しく叩いたり、おやつを与えたり、オモチャで遊んでやったり。そういう報酬で動機を維持したり、アップさせたりしないと、ダメなんじゃないか?特にルーシーみたいな反抗的な性格だと。
 だから、美味しいおやつをチラつかせて指示に従わせる。(あ)はルーシーとのダンスは完全に陽性なものにしたいと考えている。それが一番無理がないからだ。きちんと指示に従ったら、それが正しい事を示して報酬を与える。そうすることが次の指示に従う動機にもなる。報酬を与えないと、当然もらえるべきものがもらえない訳だからルーシーは「?」という顔をするけれど・・・。
 先生の考えでは、ダンスもベーシック(基本的な服従訓練)も、犬にとっては「やらなきゃいけない事」であって、全く違わないという。飼い主が指示したら従って当たり前。それがコントロールだという。そして(あ)にはそれが欠けていると言うことだろう。
 そりゃ、そーなんだけどさ!
 「(ルーシーがコマンドに直ぐ従ったからと)Iさんが『そう』と言ったら、ルーシーはフワァ〜となって(緊張が完全に解けて)指示を忘れてしまいますよ」
 この指摘も良く分かる。しかし、元より動機の高い技は褒めや報酬を減らせるけど、苦手な技については?どう加減したら良いのかしら?すごいビミョ〜なサジ加減を要求されている気がする。
 遠隔練習でも同じ事を言われている。褒めるタイミングは掴みつつあるものの、何を褒めるか、どう褒めるかが先生の考えと違うみたいなのだ。そして、先生がどう考えているかがまだ掴めていない。
 時々、先生は(あ)を見ながら「今、褒めて〜」「そこは褒めなくて良い」と教えてくれる。 予想と違い「褒めなくて良い」と言われて驚くより、「えぇ〜?ここで褒めるの?」と驚くことが多い。
 でも先生の補助ナシでは、いつもの「ともかく何でも褒める私」になってしまう。ルーシーに指示を的確に出し、ルーシーがタイミング良く従って動作をきちんと完了できるかを見極め、できたら褒めて、次の動作を思い出すので精一杯。現実的に「ここは褒めたらイカン」とか、逆に「ここは声だけで褒める」とか「ここで褒めて、おやつを与えなきゃイカン」とか考える余裕は全くない。
 かなり頭の中が混乱している。この時期に、こんなに混乱するとは。どうしたもんかいな?