化かし合い

 2週間ふりの教室。この間の課題は、自分一人で曲を通して踊れるようにすることと、ようやく決まった構成を細かい部分に切って、ルーシーと少しずつ練習すること。シャドウはまずまず。構成は大体覚えたけど、褒めるタイミングとトリーツを与えるタイミングがまだつかめていない。だからシャドウの完成度は60%というところか。
 ルーシーとの練習は、まだまだ一つ一つの動きを確認する段階だ。クルンで(あ)の周囲を回ったルーシーは、自分がどこにいるのかが分からなくなる。ツイテと言われているのに、なぜか(あ)の前に止まる。「ツイテだよ」と言われて、アウアウ言いながら慌てて左に付く。変なの。
 同じ歩く動きでも、ツイテとサイドではスピードが違うことにも驚いた。サイドに付けると、すごく焦る。「ちゃんと」「ゆっくり」と声をかけても、アウアウ言って耳に入らない様子。訳分からん。こちらも早足になる。この調子では、音楽をかけたら二人でダッシュかも(爆)。
 前にも書いたけれど、ナベアツが乗り移ったルーシー。ナベアツ・シンドロームとでも言おうか(笑)。 ルーシーは、カウントが3と6に来ると「来るぞ、来るぞ〜、次は○○って言うぞ〜」と構えてしまう。構えるのは良いのだけど、動きが止まる。ジリジリした様子で挙動不審になる。先生にも「いつも3と6にするから、ルーシーが準備するんでしょうね。」と言われた。カウントを言わないように心がけようと思うのだが、こっちは癖になっちゃった。無意識に声に出してカウントしてしまったり、なんとかカウントを我慢しても、こっちが妙に緊張してしまったり。なんだかなぁ〜。
 クリープ(匍匐前進)も今ひとつ。苦手だから頑張って強化しているんだけど、距離が1.5メートル以上になると、ルーシーのお尻が上がってしまう。これまでは、お尻が上がった瞬間に「あっ!」と声をかけ、やり直させてきた。すると「あ」の声で慌てて地面にお腹を付けるようになった。お腹を挙げてはいけないと分かっているけど、早く進まなきゃと焦っちゃうらしい。こちらがちょっと視線を上げて、伏せたルーシーのお尻あたりをジト目で見つめていると、少しずつだが伏せたまま匍匐前進できるようになってきた。ところが、何回もクリープをさせていると、最初の伏せの指示が出された段階で、1〜3歩前に出てから伏せるようになった(笑)。
 我ながら、本当にキツネとタヌキの化かし合いみたいだ。
 一番の原因は、ルーシーが焦ることなので、この焦りを取り除いてやりたいんだけどなぁ。
 先生に相談すると、パートナーの青空ちゃんでも同じ事があったそうだ。しかし「ダウン(伏せ)」を連呼していたら、お腹を付けたままで匍匐前進ができるようになったとか。「ルーシーがお尻を上げた瞬間に棒でお尻を突いたらどうか?」というアドバイスをいただいた。しかし申し訳ないが、自分がこれを実行する気になれない。元より苦手なものに、さらにマイナスのイメージは付けたくないからだ。
 「じゃあ、ハンドシグナルを出してでも、これまでどおり徹底強化してください」とアドバイスを受けた。・・・ふぁぁい(←気のない返事)。
 毎度毎度、キツネとタヌキの化かし合いだ。それでも、自分が少し変化したことに気が付いた。
 昔なら毎回イライラしたけど、だんだん楽しめるようになってきたのだ。
 「え?お母さんのカウントを聞いてたの?」と驚かされたり、「なるほど、そうきたか〜」と笑ってしまったり。ルーシーも、アイツなりに小さな頭で考えているんだよね。
 ダンスはステージだけが楽しいんじゃないと思う。そこまでのプロセスを楽しまなきゃね。とりあえず、お母さんは黙ってカウントするように自分を矯正しないと(爆)。