ペットの避難対策

 タイム誌の2007年の記事。2005年8月、ハリケーン(Katrina)がニューオリンズや周辺地域を襲ったことは記憶に新しいが、災害対策に関する以後の進展について書かれていた。
 避難命令が出されたら、移動手段のない人々に対してバスを使うことになった。バスに載せられないような重病人や障害者には、避難のために列車が利用できるようにと交渉が進められている。しかし、FEMAのトレイラーには、2007年の時点で、依然、数千世帯が住んでおり、なおかつトレイラーは、同じ規模のハリケーンの強風には到底たえられないという。そして、ペットの避難については、さらに難しいと言わざるをえない。
 市の担当者はペットも助けてやりたいと思っている。また、州法や連邦法にはペットの避難に関する準備をするようにと義務付けている。しかし、人間の避難だけでも大変なのに、ペットまで配慮しなければならないとすると、避難対策は、一段と難しくなる。
 実際、Katrinaが引き起こした数えきれないほどの惨事の中で、ペットは大きな問題だった。Katrina以後に行われた調査によれば、「ペットと一緒に避難できないから」という理由で、あえて避難せずに市内でハリケーンを乗り切ろうとした人達は、実に44%に上る。ニューオリンズ市では、同じ惨事を繰り返さないための対策に取り組んでおり、もし再び避難命令が出された場合、「市としては、住民に対して、自宅に残るより避難する方が理にかなっていると思えるようにしなければならない。もし『ペットがいるから』が自宅に残る理由のひとつであれば、今度は『ペットは大丈夫』と安心させられるようにしなければならない」と言う。Katrinaによって、7万匹ものペットが市内に取り残された。このうち救助されたのは1万5千匹。さらに、元の飼い主に引き取られたのは、その中のわずか20%だった。
 保護団体の担当者は「私たちは保護動物を全国に送りました」と語る。保護された動物の多くは迷子札などを付けていなかった。飼い主が特定されたとしても、多くの場合、飼い主の居場所を突き止めるのは難しかった。全国で心あるペット愛好家達が、Katrinaで行き場を失った犬や猫を受け入れた。この団体やその他の保護団体が行った活動でトラブルがなかったとは言えないけれど、この経験を教訓に、ペットの緊急保護については、すべての団体があらかじめ動物保護局に登録することが義務付けられることとなった。
 ニューオリンズ市では、Katrina以後に制定された州法、連邦法に従い、自分で退去する手段がない人は、ペット連れで退去することができるようになった。ペットをキャリーに入れて、市内に分散するピックアップ場所13箇所で、ペット連れであることを申し出れば、市外への退去者と一緒にバスに乗れることになった。そこからは州が引き継ぎ、人々をバスで避難所へ連れていき、猫や犬をトラクターで運ぶ。飼い主とペットができるだけ近い場所に避難できるのが理想だという。避難を余儀なくされた人々は、自宅ほど快適ではないにしろ、愛するペットと一緒にいられることで少しでも心が休まるだろう。なお、避難所の担当者は、他人のペットのケアや飼養の責任を負わないことになっている。また、SPCAでは自ら避難計画を考え準備を進めているという。

 日本でもペットを家族の一員と考えている人は多い。ペットが、災害に巻き込まれて命を失うことは避けられないだろう。しかし、被災後に行き場を失って命を落とすことになるのは、避けられると思う。また、新しい生活を始める上で人間側も不安に違いない。生活復興への長い道のりを、寄り添って歩いてくれるペットは、被災者の心の支えになるのでは?ペット連れの被災者に対して、避難所や仮設住宅を、一部だけでも提供して欲しい。

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http://www.n-d-s.tv/pet-rescue/shomei.html


少し前からですが梅が咲いています。まぶちぃ