犬も人間も元気に

米国シアトル・タイムズ紙の記事の要旨。

 米国の大学で行われた新しい研究で、80種を超える犬種について死因のデータを分析したそうだ。20年をかけて蓄積したデータを基に特定犬種の死因で多いものを確認したそうだ。
 例えば、トイ種(チワワやマルチーズ等)は、心臓疾患により死亡する率が高いことが分かっているが、実はフォックステリアでも高い。ゴールデンやボクサーは、ガンによる死亡率が高いことは知られているけれど、ブヴィエ・ド・フランドルの死亡率はボクサーよりも高い。希少犬種ではデータ不足で分析に至らないものもあるそうだが、データを分析することで、パターンが見えてくるという。
 犬種全般を通じて死亡原因で一番多いのはガンではあるけれど、ガンが死亡原因として特に多かったのは、バーニーズ、ゴールデン、スコティッシュ・テリア、ブヴィエとボクサーの5犬種だった。
また、年齢の若い犬では、内臓疾患や感染症(パルヴォウィルス等)で死亡することが多く、成犬はガン、脳疾患、脊髄疾患によることが多いという。

消化器系:グレートデーン、ゴードンセッター、秋田、チャイニーズ・シャーペイ、ワイマラナー(これらの死亡例の大半が、鼓腸症または胃腸捻転によることが多かった)
心臓疾患:ニューファンドランドマルチーズ、チワワ、ドーベルマン・ピンシャー、フォックステリア
脳疾患および脊髄疾患:ダックスフント、ミニチュア・ダックス、パグ、ミニチュア・ピンシャーボストンテリア
骨、筋肉および関節の病気:セントバーナード、グレート・ピレネーアイリッシュ・ウルフハウンド、グレートデーン、グレイハウンド
呼吸器系疾患:ブルドッグボルゾイヨークシャー・テリア、アフガン・ハウンド、トリイング・ウオーカー・クーンハウンド
感染症トリイング・ウォーカー・クーンハウンド、アメリカン・スタッフォードシャイヤ・テリア、グレイハウンド、イングリッシュ・ポインター、カーディガン・ウェルシュコーギー
先天性疾患:ニューファンドランドブルドッグ、秋田、ヨークシャー・テリアマルチーズ
外傷:オーストラリアン・ヒーラー、アメリカン・スタッフォードシャイヤ・テリア、ジャックラッセルテリアミニチュア・ピンシャー、オーストラリアン・シェパード

 犬種全般に付いて、生殖系疾患が原因となった死亡例は上位ではないにしろ、スコティッシュ・テリア、エアデール、ダルメシアンノルウェイジャン・エルクハウンドやスタンダード・シュナウザーでは多いそうだ。
「哺乳類では、体格が大きい種の方が小さなものよりも寿命が長い。たとえば、象はネズミよりも寿命が長いし、羊はその中間だ。哺乳類に属する数百の種においては、このパターンが当てはまる」「しかし、犬の中では、反対のことが起こる。小型犬種の方が長寿だ。」
 研究によると、大型犬種では骨や筋肉、消化器系の疾患、そして著しくガンによる死亡例が多く、一方、小型犬種では糖尿病やクッシング病のような代謝性疾患による死亡率が高い傾向にあるそうだ。
 これらの研究は、犬の健康を守る上で重要であるとともに、ゲノムの比較研究を行うことで、人間への応用も期待されている。
 犬のクッシング病では特定の遺伝子が大きな役割を果たしているとすれば、同じ病気をもつ人間に、同じパターンが見られるかどうかを調査し、早期診断や治療を行う上で、新しい戦略づくりが見込まれるのだという。