去りゆく年に

 先日、実母とおせち料理の話をしていたところ。ふと思い出したことがあった。
 「おせち料理に、どうして誰も食べない栗きんとんを、わざわざ作っていたの?」と訊いた。
 (あ)だけでなく、母以外の人間は栗きんとんを食べない。母も口をつけるけれど、一口、二口でおしまい。結局、大方を捨てることになる。なのに、なぜか毎年、栗きんとんがおせち料理に入っていた。
 栗きんとんの謂われは知らないけれど、母は、おせち作りで半日をかけて、忙しく台所で働いていた。1品でも減れば作業量が減る。電子レンジもフードプロセッサーもない時代だ。作業の大半は、単純な作業。滑らかな口触りにするため、ヘラと裏ごし器で、蒸かしたサツマイモを、ひたすら裏ごしする。自分も一度だけ作ってみたけれど、大掃除で疲れきった体には、なかなかキツイ。それに、手のかかる子供もいたのだから、捨てることになる料理を作るほど、母には時間の余裕はなかったはず。常々不思議だった。
 「栗きんとんはね、大晦日の真夜中に作ってたのよ。裏ごししながら今年一年のことを、あれこれ思い出すの。今年一年、なんとか無事に過ごせたな〜と思ってね」
 どうやら、母にとって、栗きんとんを作る作業は、過ぎゆく一年を振り返る大切な時間だったらしい。
 今年も残すところ、あと2日。思い返せば、いろんなことがあったなぁ。辛い別れや悲しいこともあったけど、それがきっかけになって、忘れていた大切なことを思い出したり。良いことも悪いことも、考えもしなかったことが起こって驚いたり。
 ともかく元気で過ごせることに感謝!
 お付き合いいただいているお友達に感謝!
 ピーママ、忙しいのに、餃子持ってきてくれて、ありがとう!
 来年も、家族全員やお友達、みんなが元気でいられますように。
 今は笑えなくても、一人でも多くの人々に笑顔が戻りますように。


↑ズラ被って踊ってみたかったんですけど、最後のオチをどうしたら良いかが分からない(爆)!