犬も2月は大変

 アメリカでは、2月はア○デミー賞やグ○ミー賞のシーズン。そして、タレント犬にとっても大きなイベントが待っている。その名も「ゴールデンカラー映画出演最優秀演技犬賞」。(注:「カラー」は色じゃなくて、首輪の方 笑)アカ○ミー賞さながらに、すでにノミネーションが行われ、映画2本に出演したジャックラッセルテリアのアギーが最有力候補と目されている。
 ところが、これに待ったをかけた人がいる。大御所マイケル・スコセ○シ監督である。スコ○ッシ監督といえば、映画でアカデミー賞の監督賞や作品賞を獲得、さらにM・ジャクソンのPVを手がけ、さまざまな賞を獲得してきた、日本でも有名な映画監督だ。その方が、LAタイム○紙の意見欄で、この賞のノミネーションに疑問を呈した。

 以下は、その内容だ。

 私の作品“ヒュ○ゴの不思議な発明”が受け入れられたことは、私にとって大変喜ばしいことである一方で、私達は、ある分野で、非常に冷遇されていると感じる。この問題については、無作法と受け取られないために、自分の意見を発表しないように注意を受けている。まぁ、それでも私はそのリスクを冒す。
 先日の朝、私はテレビをつけて、ゴールデンカラー映画出演最優秀演技犬賞のノミネーションについて聞き及んだ。その時の私の驚きを想像していただきたい。私達の作品には、ドーベルマンブラッキーが出演していた。それなのに、なぜブラッキーがノミネートされないなんてことがあり得るのだろうか? 
 私は耳をすませていたが、ブラッキーの名前が呼ばれることはなかった。かわりに耳にしたのは、ジャックラッセルテリアのアギーとかいう犬についての騒ぎ。実際、アギーは可愛らしく、別々の映画2本で2つのノミネーションを受けていた。おめでとう。

 さぁ、腹を割って話そうじゃないか。ジャックラッセルテリアは小さくて可愛い。ドーベルマンは大きくて――格好が良い。さらに言えば、アギーは、一方の映画で、トリックをし、自分の主人の生命を救う小さなマスコットを演じており、ブラッキーは、子供に恐怖を与える獰猛な番犬として、妥協のない演技を見せていた。もう、読者の皆さんには、私が何を言わんとしているかが、お分かりになっていると思う。
 私達には、リンティンティンやラッシー、大スターでヒーローについては、好ましい記憶があるけれども、アンチ・ヒーローはどうだろうか?人間のアンチ・ヒーローを受け入れることは学んできたけれど、犬のアンチ・ヒーローとなれば、到底受け入れているとは言えない。
 私はブラッキーのことを誇らしく思う。彼女は自分のすべてをかけて、観客を敵に回す素晴らしい演技をしたのだ。彼女が撮影現場でつけられたニックネームは「市民犬」(市民ケーンのもじり)。彼女にふさわしいニックネームだった。とてもシャープな顔の輪郭を3Dでさらにシャープにして、風呂のシーンだけでも抑制のきいた演技としては秀逸である。
 さらに、根強い偏見が働いていることを感じる。ジャックラッセルテリアは、19世紀に英国人ジョン・ラッセルキツネ狩りのためつくった犬種だ。一方、ドーベルマンは、ドイツの徴税人が、市民に殴り殺されるのを恐れてつくった犬種である。だからといって、私達は、ドーベルマンという犬種すべてを当然のように非難して良いものだろうか?伝説のドーベルマン達が成し遂げた素晴らしい功績を忘れて良いものだろうか?
 端的にいえば、私は、ドーベルマンブラッキーが、第一回「ゴールデンカラー映画出演最優秀演技犬賞」のノミネートから外すことに抗議する。さらに、本紙の読者全員におかれては、書き込み投票により、ご自身の意思をドッグニュース・デイリーの編集者に知らせ、ブラッキーが十分値するノミネーションを受けることができるようにしていただきたいと思う。

http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-scorsese-blackie-20120129,0,5054454.story

 監督の意見を受けて、結局ブラッキーはノミネートされたそうだ。監督も喜んでいるだろう。
 だけどさ〜、本当にブラッキーを出演者として大切に思っていて、ドーベルマンという犬種を愛しているんだったら、3Dで加工しなくて良いんじゃないの?そりゃストーリーはお伽話だし、3Dが演出方法の1つと言われたら、それまでだけどさ。犬そのものの姿で十分だと思うんだけどなぁ。