確定申告会場で

 昨日、確定申告を済ませた。先週は珍しくも仕事でバタバタしており、今週になって用紙の袋を開けた。場所もスケジュールも、例年から変わっており、地元で税理士さんに見てもらいながら申告できるのは今週いっぱいとのこと。「エライこっちゃ」と慌てて源泉徴収票等をまとめて出かけた。
 例年は駅近くの市役所だったのが、今回は駅から遠い商工会館おまけに商工会館の駐車場には駐車が許されておらず、道の向かい側にある市所有の別施設の駐車場を使うよう指定されていた。駐車券は出してくれたけど、この駐車場から雨の中を歩くのは、健康な人間でもかなりメンドクサイ。
 車がない人は、公共交通機関を使うことになる。市役所前にはいろんな路線のバスが止まるけれど、商工会館近くのバス停に止まる路線は非常に少ない。駅から離れた場所なので、電車で来た人は、駅前から歩くか、タクシーということになる。
 建物に入ると、書類提出だけの人は、さっさと書類を出して出ていく。一方、税理士の相談を受けたい人は番号札を渡される。まずは1Fの待合で1時間強ほど待たされる。毎年、この時間中に「あぁ〜、申告書類の書き方を覚えておきゃ良かった」と思うんだけど、今年はちょっとイレギュラーなことがあったから、待つのはしかたがないよなぁ。
 待合は、時間の経過と共に、どんどん人は増えて座るところに困るくらいになった。(あ)は部屋の角に座っていたのだが、杖をついた高齢者の方が入って来られたので席を譲った。促したつもりはないが、ご老人は話し始めた。
 「ワシは、とっくの昔に(申告は)済んで、今は迎えを待っとるんですわ」
 電車で3駅ほど向こうにお住まいで、ご家族に運転させて早朝に申告会場に来られたとか。
 「市役所やったら、なんとか歩いてでもいけるけど、ここはワシの足ではムリですわ」
 足に問題がなくても駅からここまで歩くのは辛いかも。ましてや雨だし。
 「息子に会社を休ませて運転してもらったんやけど、ワシをここで下ろした後、婆さんを病院に連れていったから、何時に迎えに来るかわからんです。ワシはここで待っているしかないんや」
 「申告した時、係に『こんな遠い場所やったら来年は申告できんかもしれん』と言ったら、相手は『いやいや、死ぬまで納税義務はありますから』と言いよった」
 あ〜、いかにも小役人の手下が言いそうなことですな。
 『じゃあ、ワシが寝たきりになったら、どうすんねん?』と訊いたら『それは知りません』と言いよる」
 インターネットで申告できるとはいえ、体が不自由な高齢者が、これからコンピュータを覚えるのは非現実的だと思う。それに高齢者になれば、一般の給与所得以上に、年金手帳が必要だとか申告の手続き自体がややこしくなる。
こんな風に2週間という期間で市内1箇所に集めるより、係の数は少なくて良いから、各町1〜2日とかで相談を受け付けて欲しいものだ。
 結局(あ)は2時間近く待って、相談に費やした時間は2分。ご老人のご苦労を考えれば文句は言えないけどさ。