ルーシーの策略

 昨夜はTVでバレーボール観戦。実力が拮抗しているのだろう。フルセットにもつれこんだ。こちらはハラハラしてしまったよ、大きなお世話だけど。ホント心臓に悪い。
 真剣にTVを見ていると、黒い物体が画面を横切る。しばらくすると、また横切る。もうしばらくすると、横切る途中、画面の前でこちらを向く。「ルーシー、ジャマ」と言われて、ハゥンと情けない声を出し、なぜかTVの横に座る。
 こちら凶悪指数50%の顔(喧嘩を売るヤンキーのような表情)を向けて「ルーシー、何?」と訊く。ルーシーは、その場で神妙な顔で伏せる。そして、ちらりとTVの上に視線を送る。・・・コングが欲しいのかよ。
 「ルーシー、食べたでしょ?今日はおしまい」と言い渡す。すると「お代官様、後生でござりまする」と、にじり寄ってくる。

 ええい、めんどくさいヤツめ!

 それでも、おやつを与えるつもりはないので「じゃあ、これをあげよう。カミカミしていいよ」ガリガリ君(鹿の骨)を与える。
 すると、ルーシーは情けない顔をして鹿の骨を見つめて、立ちつくす。

 ・・・今度は何だよ?!(もはや凶悪指数80%)

 どうやら指が痛くて、鹿の骨を自分では支えられないようだ。

 「もうぅぅぅ〜。お母さんが持ってるからカミカミしな」

 と、片手で鹿の骨を握ってルーシーに差し出して、顔半分をTVに向ける。すると、今度はルーシーが立ったり、バウのポーズをとったり、伏せたり。落ち着いてTVが見られないではないか。

「・・・今度は何だよ?」(凶悪指数90%)

差し出す角度が悪いらしく、奥歯で噛めないらしい。

むきぃぃぃ〜!!(凶悪指数120%)

しかたなくTVに背を向けて床に腹ばいになり、両手で鹿の角を支える。
バレーボール放映に背を向けて、なんで自分がフライングレシーブ体勢をとらんとイカンのや(爆)。

ガァ〜リ、ゴォ〜リ、ガァ〜リ、ゴォ〜リ

ルーシーはうっとりした表情で鹿の骨を噛む。痛むはずの前足のポウはなぜか(あ)の手に添えられえいた。小さな柔らかいポウの感触。胸がきゅんとなって(あ)の凶悪指数が50%に下がる。

次の瞬間、背後で「○○のスーパーレシーブ!」という声が響いた。
はっ!もしかしてルーシーの策略にハマってしまったのでは?

今日もルーシーの粘り勝ちか?