言い争い

 昨日の夕方。若干気温が低かったので、少し早めに散歩に出た。公園に近づいたところで男性の大きな声がした。何事かと思ったら、高齢の男性と中年の男性が言い争っていた。2人とも犬の散歩中。
 小耳にはさんだ程度なので、詳しい事情はわからない。しかし、断片をつなぎ合わせると、中年の男性の飼い犬が、高齢の男性の犬に対して吠えかかるなど、一触即発の状況があったらしい。
 高齢の男性は足が不自由で杖をついている。その上、足を引きずりながら歩くので、ノーリードにせざるを得ない。昔から、この男性と犬のことはよく知っているけれど、このワンちゃんがトラブルを起こしたことは皆無。犬は、ルーシーなんぞとは比べ物にならない程に、シツケが入っている。
 一方、中年男性の犬は、あまりシツケが入っているとはいえない。ルーシーは何回も吠えられていて、いつしか、この犬の姿を見かけると唸り、吠えの先制攻撃をするようになった。幸い(あ)の方が相手を見つける方が早いので、大抵は、相手の姿が見えない場所に移動している。また、どうしても、すれ違わなければならない場合には、あらかじめルーシーに注意を与え、アテンションをとり、ルーシーが相手の敵意を煽らないようにしてきた。
 中年男性は、高齢男性に対して、犬がリードを着用していないことを注意したらしい。
 高齢男性は、自分の足のため、しかたなくノーリードにしているが「この子はシツケが入っとる」と応えた。
 中年男性は、ノーリードは法律違反だと指摘し、さらに高齢男性が正しい方法で散歩させられないのなら、「行政になんとかしてもらえ」と言ったようだ。
 これが高齢男性の怒りに油を注いだようで、言い争いに発展したようだ。

 (あ)には、両方の言い分がよく判る。
 リードを着用させているからと言って、トラブルが起こらない訳ではない。一方、100%シツケが入っていても、不足の事態は起こりうる。
 シツケは1日で成るものではない。日々の努力を積み重ねてこそ、ここまで素晴らしい犬になったのだろう。努力をした側には、自分ができることは全てやっているという自負もある。それを簡単に無視されるのはたまらないだろう。
 一方、リードの着用は飼い主の義務であり、シツケ以前の問題だ。そこができていないのに、シツケ云々を理由にするのは間違いだと言われても、しかたがない。

 高齢者や体の不自由な方にとって、犬の散歩は屋外に出て体を動かす動機や理由にもなるだろうし。その一方で、たとえジョギング・コースであっても、犬がリードを着用していなければ、自転車の無謀運転で事故に遭う可能性もある。

 法律という一面だけで見れば、中年男性の言い分が勝つことになるけれど。

 それだけで判断するのも、犬の飼い主という同じ立場の人間として、どうだろう?

 ルーシーは中年男性の犬が苦手だから、その場がさらにややこしくなると思って、足早に立ち去ったけど。

 今後は、こういう問題が増えるだろうなぁ。

 ちょっと考えさせられてしまったよ。