飼い主が犬をつくる

 盆休み中は、ルーシーを(た)にほぼ任せっぱなし。休みに入った途端に負傷させてしまい申し訳なかったけれど、ルーシーは『砂の器』旅もしたことだし、ヤツは嬉しかったに違いない。
 休み明け。いつもの生活に戻った。
 飼い主が犬をつくることを痛感させられた。

 まず、体。
 太ってしまった。プニプニである(T_T)。

 休み前は体を手で触ると、筋肉がこちらの手を押し返すような締り具合だった。その感触が完全になくなっていた。
負傷のせいで1週間水遊びはできなかったものの、獣医さんに「歩き散歩は普段通りで」と言われていた。そのことは(た)にも伝えていたし「段差にだけ気をつけて」と注意していた。
 とはいえ、ルーシーの具合が気になって、休み中は毎日「どれくらい運動した?」と確認していた。すると(た)は「結構した」と答えていたが・・・。

 このセリフ、全くアテにならんことが発覚。

 (た)は散歩の度に車で出かけていたので、てっきり涼しいところへ行って1時間強は歩いていると思っていた。単に自分が楽をしたいだけのおざなりの散歩だったらしい。その証拠がルーシーの足。しっかり歩いた筋肉ではない。
休みの途中で、そのことに気がついて(あ)は(た)にしつこく訊くことにした。
 「どれくらい」という質問ではなく、「どこへ」「どんな運動」「どれくらいの時間」と具体的に答えを求めた。すると、ヤツは答えをはぐらかした。
 (あ)が苦労してつくってきたルーシーの筋肉は、盆休みの1週間で元も子もない状態になってしまった。
 休みの最後になって、(た)は慌ててルーシーの食事を減らしていた。アホか。必要なのは筋肉だっちゅーの!

 運動不足は態度にも現れた。小さな変化だけど。
 ルーシーが(た)に対して歯を剥いたり、威嚇したり。最初は負傷箇所が痛むのかと考えたが、それだけではなさそうだ。(あ)が離れた場所から睨みを効かせると、ルーシーは視線を逸らすが、見えないところ(と、ルーシーは思っている 笑)で、歯をムキーとさせていた。(た)は言うことをきかせようと「ほら、マグロあるよ」と、しきりにおやつで釣ろうとしていた。そうじゃないだろ。ちゃんと反省させなよ。

 そして、給水と排泄。
 ルーシーには、就寝前に屋内のトイレシーツでNo.1(小)をさせる。お腹がいっぱいになると眠くなって、用を足すのに時間がかかる。だから、ちょっとしたおやつで釣る。ところが、(た)の場合、引っ張りっこで遊ぼうが、おやつを見せびらかそうが、ルーシーはなかなか用を足さず、結局寝床へ入れられることが多かった。
 理由は簡単である。
ひとつは、一日の給水量が少なすぎる上に、最後の給水時から排泄までの時間が短すぎる。もうひとつは「グズグズしてたら、ウマウマなおやつはオマエの口に入らんぞ」と脅しをかけないからだ(爆)。
 (あ)が夕方ルーシーを散歩させると、ルーシーは500mlのペットボトルの3分の2は飲む。逆に、散歩中におやつを与えることは少ない。おやつは「ここぞ」という時にしか使わない。食事を食べさせ、十分に給水した後、最低でも1時間半は昼寝させる。おしっこタンクが十分溜まるまで待つ訳だ。
 そして、頃合いを見計らってルーシーを起こす。排泄のコマンドを出し、おやつを見せながら「シーシーしないならネンネだよ。どうする?」と、にこやかに脅しをかける(笑)。ここで叱ったり、イライラした様子を見せるより、相手に二択で選ばせる方が成功率は高い。

 (た)が車に乗せたり、自分の指示に従わせるために、何かというと、おやつを出したり。その姿を見て、義妹がつぶやいた。「それって、ごきげんとってるだけじゃ・・・?」
 そのとおり(爆)!!
 犬のことを全く知らない人間にまで、はっきり見えてしまっていたらしい。

 普段の生活に戻ったルーシー。メリハリがあるせいか、寝る時はとことん寝る。そして、新聞配達のバイクが走り出す頃にゴソゴソし始める。起きている時、要求することは少ないけれど(車を出す時以外 笑)、こちらの動きを監視している。事ある毎に「次はアレですね?」と訊いてくる。
 甘やかすことではなく、犬の生理的なニーズ(運動や食事や排泄等。特に運動)を満足させていれば、犬は精神的に安定する。安定すれば問題行動は減る。・・・と、シーザー・ミ○ンは言ってたよ(笑)。