自殺するボーダーコリー?

 先日行ったドッグカフェ。マスターさんはドッグフードに精通し、スタッフさんはペットシッターもされているので、犬の健康管理について詳しい。カフェに足を運ぶお客さん達に、有益な情報を提供してくれる。ドッグカフェの中には、プール等の施設が整ったところや、美味しい手作り食を用意しているところもあるけれど、有益な情報がもらえるというのも良いカフェだと思う。
 今回お話を伺えたのはスタッフさん。散歩の話になった。
 今年の夏は、日中が尋常ではない暑さで夜間も気温が下がらない。犬にも人間にも非常に厳しい。
 このドッグカフェは高台にあるので、我が家より少しは涼しいかと思ったが、条件は変わらないようだ。日が沈んでも、道路や地面は熱い。熱中症の危険性がある。
 「小型犬だったら屋外に出るよりも、屋内で走り回っている方が良いかもしれませんね」と言うと、スタッフさんは「私は、散歩が全く要らない犬はいないと思っています」と仰る。カフェの裏道を下って川沿いに出ると地面が土の緑道があるので、そこを散歩させることが多いとか。
 日没が早くなってきたので、他のワンちゃんとかち合うことが多いので気は遣うけれど、やはり散歩は必要だそうだ。
 反対に、スタッフさんから犬のシツケについて訊かれた。
 (あ)は、ルーシーの性格を考えると、8歳になった今でも、遊びではあるけれど、トレーニングは必要だと思っている。経験上、ヤツをヒマにするとロクなことがない。そう答えると、スタッフさんはうなづいて仰った。
 「よく『自殺するボーダーコリー』 の話を聞きます」
 
 自殺するボーダーコリー?!

 よくよく訊くと、こういうことらしい。
 ボーダーコリーは生涯を通じて学ぶ犬種である。常に新しいことを学び「違うよ」と言われ続け正解を模索し続ける。学習を続ける間は、飼い主のコントロールが効いた状態にある。だから学ぶことを止めると、コントロールから離れて本能が出てきてしまう。突然、車やバイクを追いかけて相手を止めようとする。タイヤに向かって突撃する。そういう状態を避けるためにも、シツケは必要であると。

 スタッフさんの話だけだと、ボーダーコリーは、手がかかる上に自滅的な犬種ってことになるなぁ(笑)。

 でも、あながちマチガイではないと思う。
 ルーシーを迎えた当初に習っていたトレーナーさんは、オスワリやフセ等よりも、まず「追いかけないこと」を教えるべきだと仰った。
 近くの交差点へ行き信号待ちをする。ルーシーをフセさせてリードを踏み、走りだす車やバイクをそのままで通過させる。静止状態で待てたら褒める。それができたら立たせて待たせる。少しでも車に向かって行こうとする素振りを見せたら、ルーシーの背後から奇声(大声ではない)を上げて驚かす。ルーシーが驚いて、こちらを見たら褒める。
 高校近くの歩道で、ドッグフードを持ち、自転車通学の学生を待つ。自転車が来たら「自転車ラッキー!」と声をかけてフードを与える。
 パピーの頃に、これを毎日やったおかげで、ルーシーは自転車やランナー、バイクを追いかけることはない。
 ちなみに「自転車ラッキー」はルーシーのお気に入りだ。
 自転車が前方から来ると、こちらの顔を見て「来たよ」と嬉しそうに知らせるようになった。ボーダーだからかどうかは定かではないけれど「お知らせ」自体が嬉しいことらしい。今では、ご褒美を与えることはあまりないが、ルーシーが顔を見たら「そうだね。お知らせ、ありがとね」と答えることにしている。
 まずは生命を守るシツケから。
 新しくボーダーコリーを迎えられた人達にも、お勧めしたいと思う。