ドラマ

 珍しくドラマにハマっている。巷でも人気の『半沢○樹』。
 何を隠そう、ウン十年前(あ)は銀行員だった。外銀の小さな支店なので、派閥とか、出世のために仲間の足を引っ張るなんてことはなかったけど←入行当時の頭取は、ネオナチに車ごと爆弾でふっ飛ばされたので、大体、頭取になりたい人がいたのかどうかも疑問だよ(笑)
 最初の配属は資金部だったので、お金は数字でしかなく、ゲンナマを触ることがなかった→情けないことに、未だに札勘ができない(爆)。その後、融資部へ異動。
 当時の融資部長が非常に素晴らしい方で「この人の下で働きたい!」と希望した。ちなみにアメリカ育ちの日本人女性。東京からの出向だったから、(あ)のいた支店での勤務は数年に限られる。資金部の上司も、これまた素晴らしかったので離れたくなかったけれど。「あの人の下にだったら、君を出す意味はある。こちらが困ったら戻ってきてもらうからね。」と言ってもらえた。この頃は、本当に上司に恵まれていた。

 で、その融資部長。
 女性だけど半沢○樹そっくり(笑)。
 支店の上層部は元より、本店の取締役を前にしても、言うべきことはキッチリ言う。

 上層部が、融資部全員が反対する中で、全く根拠ナシに相手を信用し、リスクの高い取引を進めようとしたところ、
会議室のテーブルを両手でバーンと叩き、
“Could you stop being naïve? (「子供じみた事を言うのも、いい加減にして下さい!」)
と声を上げた。
 また、営業担当者が信用面に問題のあると判明した会社に融資を継続しようとゴリ押ししたところ、
 「貸し倒れたら、どうするんです?貴方の退職金で補填できる額じゃないでしょう?」
と詰め寄る。
 で、部下が何かしら貢献したら、そのことを上層部に直接伝えるか、または、その部下に報告させる。絶対に自分の手柄にしない。「部下の手柄は、部下の手柄」という人だった。

 上司としては理想的な人物だったのだが、弱点はあった。

 その1つが、爺さんに弱いこと(爆)。

 都銀がムチャぶりをしてきて、その都銀の副頭取が来店して頭を下げた。
 「小さなおじいさんが頭下げるんだよ。なんだか気の毒になって『分かりました』って言いたくなっちゃった」と言う。
 思わず「頭を下げてムチャが通るなら、私だって土下座しますよ。考えてみて下さい。相手は一銭も身銭を切ってないんですよ。奴らの腹は痛くも痒くもないんです。それでもOKと言えるんですか?」とツッコんだ。融資部長は、こちらの鼻息に慌てて「ゴメン、ゴメン。そうだよね」と謝った。自他共に認めるファザコンなのだった。
 この融資部長は、ある困難な融資回収を無事に完了した後、東京に戻ってしまった。後任は、全く自分の頭で考えず、自分では責任を負おうとしないタイプの人物。
 (あ)は融資部所属になって、ようやく1年が経過したところだったので、これ以上の異動を希望する訳にはいかなかった。融資回収で疲れ果てたのもあって退職した。退職を申し出たところ、それまでガンガンやり合った営業部長から「ウチ(営業)に来ないか」と言われて驚いたけど。
 融資部長から「Hちゃんは良い上司になれるよ」と言われたけれど、(あ)は自分が尊敬できる人に付いてこそ頑張れるタイプの人間だと思う。いろんな業種や職場を経験したが、この融資部長や資金部の上司ほど尊敬できる人物には出会えていない。

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そうそう、ドラマでは融資部の秘密会合は廊下や屋上になってたけど、あれはウソだね。融資部の秘密会合の場所は、金庫と相場が決まっている。キャッシャー等が金庫に入るのは朝一番と業務終了後だけど、融資部は担保書類のために、金庫には終日、自由に出入りできるもの。でも、金庫の中って意外と暑いんだよね〜。