クロちゃん

 夕方、F田公園でクロちゃんに遊んでもらう。これで2日連続なので、今日は昨日ほど走り回ることはなかったが、それでも取っ組み合いで1時間。よく飽きないなぁ。
 クロちゃんは、黒ラブと柴犬のミックスで1年2ヶ月、人間で言えば20代の若い男性というところか。そのせいか、パワーもスタミナもあるので、ルーシーの相手をしても疲れ知らずだ。ルーシーは遊びをせがんで、しばしば相手のワンちゃんに「しつこい!」と怒られる。今日の遊びでは、クロちゃんは、自分の背中に乗ろうとするルーシーを「すってんころり」と転がしていた。最後のあたりでは、ルーシーも地面に伏せたり、水を大量に飲んでいた。
 クロちゃんの両親は、3歳の黒ラブのメスと生後5ヶ月の柴犬のオスらしい。「らしい」というのは、飼い主さんも「他に心当たりがないから」だそうだ。オスでも生後5ヶ月と聞いて安心したラブの飼い主さんは、柴犬の近くに、黒ラブをつないだところ、しばらくしたらお腹が膨れてきて、大変驚いたそうだ。さもあらん、心当たりがないんだもんね。しばらくして、同じ顔をした8匹の黒いワンちゃんが生まれたそうだ。
 犬で3歳といえば、40過ぎくらいだろうか?で、お相手は中〜高校生くらいだろうか?年齢差と体高差を超えた、人間社会なら「御法度(条例違反)」の恋である。
 クロちゃんとルーシーが、互いに頬のあたりや口の周りを噛もうとすると、カチカチと音がする。ちょっと恐ろし気である。そして時折、二人は少し距離を置いて向かい合い、「走ろう」と誘い合う。走り出すと、いつもは追いかける側のルーシーを、クロちゃんが追いかけて、ルーシーの尻尾の白いところを噛もうとする。必死で逃げるルーシー。それでも嫌がっている訳ではなく、次の瞬間には「遊ぼう」のポーズをする。結構、負けず嫌いなのね。
 途中、何回か呼び戻しをしようとしたが、私の声など耳に入らなかったり、戻ってきそうな時に、クロちゃんがルーシーにちょっかいをかけたり。要するに全く呼び戻しはできなかった。ま、これも少しずつ練習しないとね。
 1時間が経過して、「もう良かろう」と飼い主が二匹のリードをつかみ、引き離そうとするが、それでも「カチカチ」は続く。訊けば、クロちゃんの飼い主さんは仕事で外出するため、本人は日中家の中で寝ていることが多く、特に運動をさせて体力アップをした訳ではないそうだ。20代男性のパワーに、ルーシーも、見ている私も圧倒されてしまった。
 公園からの帰り道、階段を上るルーシーはヘロヘロに疲れていた。往き道では、グイグイとリードを引っ張っていたのが嘘のようだ。
 クロちゃん、お疲れ様。おかげで私が楽させてもらっちゃった。明日もよろしくね。

 

クロさん