ぬいぐるみのぬーちゃん

 ルーシーは今日で6ヶ月目を迎える。記念すべき日に、ぬいぐるみを使った、ちょっとした実験をしてみた。庭に犬のぬいぐるみを置き、ルーシーの反応を見ることにしたのだ。

 いつものように昼過ぎにサークルから出してもらったルーシーは、残った栗やら木の枝を噛もうと、お尻をフリフリさせて玄関から庭へと歩いていった。すると、庭の真ん中に自分の方を向いて座っている犬がいる。一瞬、凍りつくルーシー。(あ)が「大丈夫だから」と言っても、庭に入ろうとしない。しょうがないので、(あ)が、ぬいぐるみのすぐ側を通って、庭の反対側の端へと移動した。
 ルーシーは遠巻きにぬいぐるみを見ていたが、一定の距離を保ちつつ、ぬいぐるみの視界を横切るようにゆっくりと歩き、庭の別の端まで行って戻ってきた。相手の反応をうかがっているようだ。相手は当然何の反応もしない。安心したのか、はたまた相手を挑発するつもりか、庭の隅で小をした。

 それでも、それ以上ぬいぐるみには近づこうとせず、庭の中に入ってこようとしない。(あ)がぬいぐるみを抱いて「ルーシー、遊んで」と言ってみた。猫なで声が不気味だったのか、ルーシーは庭の隅の方へと入ってしまう。そこで、(あ)は三和土にぬいぐるみと一緒に座って見せ、ルーシーに「何もしないよ」と声をかけた。

 おそるおそるルーシーは庭の真ん中へ移動し、ぬいぐるみが座っていた周囲を嗅ぎ回る。犬の臭いはしない(当たり前)。その後、ぬいぐるみに直接接触しようと近づき、お尻の臭いを嗅いで、ようやく「自分に危害を与えないようだ」と判断したようだ。

 そこからは、いつものパターン。「遊んで」のポーズを取り、ぬいぐるみを誘う。そして、ぬいぐるみが動こうとしないと、お尻をつついてみせる。それでも相手は動かないので、尻尾追いを始めてしまった。邪魔になると思い、(あ)がぬいぐるみを抱き上げると、ルーシーはニカッと笑って、お座りをして見せた。


 わずか1時間足らずの実験だったが、サークルに戻ったルーシーは、グウグウ寝てしまった。見たこともないワンちゃんの登場に大いに驚き、ちっこい頭で「どう対応するか」一生懸命考えたんだろう。
 ルーシーが我が家に来て3ヶ月が経とうとしている。その間に様々な出会いをしたが、全く変わらないのは、「人が大好きで、他のワンちゃんと遊ぶのが大好き」というところ。これは、他のワンちゃんの飼い主さんをはじめ、周囲の人たち、ワンちゃんたちが温かく見守って下さったからに他ならない。本当にありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします。