さくらちゃんは、甲斐犬の血を引いている。そのせいか山が大好き。特に山の斜面を降りる時、落ち葉を踏んで「滑るスピードとスリルを楽しむ」という通である。
 F田公園には、端の方に狭い斜面がある。ところが、芝生の広場から斜面を登ろうとすると、その前にあるビオトープ(とは名ばかりの泥池)を超えないといけない。他のワンちゃんとの追いかけっこで興奮したさくらちゃんは、斜面に向かって弾丸のように走っていってしまうことがある。その結果、ビオトープに突っ込んで、泥まみれになる。
サクラちゃん
 朝、池巡りの途中、さくらちゃんとお母さんに出会った。ルーシーは「取っ組み合いがしたい!」と、道路の真ん中でポーズをとる。それを見たさくらちゃんも、ルーシーと組み合おうとする。少々は構わないが、アスファルトの上で本気で取っ組み合いをするのは危険だ。二匹ともリードはつないだままにしていた。公園なら、もう少し自由にできるのだが、こういう場合はしょうがない。犬同士はお互い「もう少し遊びたい」と思っているだろうけれど、早々に引き離した。別れた後で、ジェントル・リーダーの着用でストレスのたまっていたルーシーは、自分の尻尾を追いかけてガウガウと抗議をしていた。
 夕方公園を訪れると、さくらちゃんがいた。早い時間だったので、芝生の広場には、ほとんど犬はいない。という訳で、二匹ともリードを離して自由に走らせることにした。
 ところが、こういう時に限って、ルーシーのやる気が続かない。しばらくは二人で走っていたが、さくらちゃんのスピードにはかなわないと思ったのだろうか。ルーシーは、後でやってきたパグのきょんちゃんに、ちょっかいを出し始めた。きょんちゃんは体高が低いので、飼い主さんや私の脚で自分の背中を支え、一生懸命ルーシーにマウンティングをしようと頑張っていた。準備をしていなかったのに、急にリングに立てと言われたボクサーのようだ。「なんで私なのよ〜」と辟易しながらも、相手をしてくれた。きょんちゃん、さくらちゃん、すいませんでした。こういうワガママな奴ですが、嫌いにならないでね。
キョンちゃん