アデルちゃんは、白ラブで1歳ちょっと。笑顔の可愛い女の子である。アデルちゃんはボール遊びだけではなく、取っ組み合いも好きらしい。ルーシーとはF公園の芝生の上で走り回り、ヨダレで顔がベタベタになるまで遊ぶ仲である。 
 アデルちゃんは、最近、ルーシーのロープ付きボールが気に入ったらしく、口にくわえて見せびらかしながら、ルーシーを追いかけっこに誘う。ルーシーは、ボールを取り返そうと、アデルちゃんを追いかける。時折、追いかけていたはずのルーシーが、アデルちゃんを追い越してしまい、何で追いかけっこをしているのか分からなくなることもある。それでも二匹は楽しそうに走り回り、表情が輝いて見える。
 途中で二匹がロープの両端をくわえて、引っ張り合いを始めた。こうなると、体重が30キロ近くあるアデルちゃんの方が強い。しばらく取り合いを続けたが、疲れたルーシーがあきらめたようだ。アデルちゃんと言えば、芝生の上で腹這いになり、勝ち取ったボールのロープの先端を、口の中で噛み始めた。
 ルーシーが他のワンちゃんに近づき「遊ぼう」と誘い始めたので、(あ)はボールから目を離してしまった。そのスキに、アデルちゃんはロープをどんどん口の中に入れてしまったようだ。ふと見ると、アデルちゃんの口から出ているロープは短くなっていた。食べてしまっては大変なので、(あ)が慌ててワンちゃん達をフードで呼び寄せるが、アデルちゃんだけはロープをくわえたまま、近づこうとしない。飼い主さんもアデルちゃんを呼びながら、取り返そうとするが、なかなか離そうとしない。よほど気に入ったと見える。
 しばらくして手元に戻ってきたロープを見ると、クチャクチャに咬まれて、繊維が柔らかくなっていた。飼い主さんが謝りながら「アデルはガムと間違えて囓っていたみたい」と仰った。アデルちゃん、頼むからお腹を壊さないでね。