フラッシュくん

 フラッシュくんは、ウィペットの生後5ヶ月。F公園に遊びに来るワンちゃんの中で、ルーシーより若い数少ない子である。フラッシュくんは、細身で足も長く、側に並んだルーシーがデブで短足に見えるのだが、実際の体重は10キロ近くもあるそうだ。細面で鼻先が尖っているので、目が非常に大きく見える。
 しつけ教室で一緒のレゴくんもウィペットだが、授業中は走り回れない。そのせいか、ルーシーもフラッシュくんを見て、すぐには遊びに誘わなかった。
 最近は取っ組み合い相手が少なくなってきたので、ルーシーも(あ)とフリスビーをして遊んでいる。ボールには相変わらず全く関心がないようで、唯一ボールを追いかけるのは、競争相手になるワンちゃんがいる時だけである。
 そんな中、フラッシュくんが遊んでくれて、ルーシーは、とても嬉しそうだった。芝生の広場を駆け回り、ひっくり返って遊ぶ。フラッシュくんは、走るスピードも速いし、フェイントをかけて方向転換するところなどは、グレイハウンドの俊敏さを譲り受けているようだ。そして、時折、横に走ったり、くるくると回転しながら前に進んだりする。これは、ルーシーにとっても新鮮だったようだ。ただし、フラッシュくんはまだ小さいので、すぐに疲れてしまっていたが。
 (あ)といえば、駆け回る二匹を見ながら、ルーシーがフラッシュくんにケガをさせなければ良いがと、ハラハラしていた。相手は細いし、短毛なのだ。事故であっても、歯が体にあたったら、切れてしまうかもしれない。全く脂肪がないので、大けがになってしまうだろう。
 今日のところは、大丈夫だったようだ。ルーシーが若い子を相手にして、優しい態度で遊べるようになれば、良いのだが。