先日購入したのは、木製のオモチャ以外に、もう一つあった。以前、公園でマロちゃんと遊んでいた時、ルーシーは、お姉さんが持参されたオモチャをいたく気に入った様子だったので、これと同じ物をインターネットで購入したのだ。ゴムでできたコングに、プラスチック製のヒモがついている。通常のコングとは違い、中に何も詰められないけれど、このオモチャは、引っ張り合いでも、フリスビーの代用品としても使える優れものだ。
 持った感じでは結構重いが、コングの部分は水に浮くらしい。ま、ルーシーの場合、水辺で遊ぶことは避けたいので、関係ないけれど。(あ)がオモチャのヒモを掴んで投げると、遠心力のせいだろう、ボールよりも遠くに飛んでいく。下り勾配の芝生広場の上から投げると、ルーシーに比較的長い距離を走らせることができる。また、オモチャが空中から地面に落下する際、コングの部分から落ちるので、着地後にどちらの方向に転がるかは、予想し難い。ルーシーも落下地点の周辺で時折「ガウ」と言いながら、自分の思い通りに動かないオモチャを一生懸命に追いかけていた。
 最近、ルーシーは、フェミナちゃんのボール遊びを邪魔してばかりだった。今日の夕方も、フェミナちゃんは近くでお父さんとボール遊びをしていたけれど、ルーシーは新しいオモチャが気に入ったのか、こちらに熱中していた。その間は、フェミナちゃんにチョッカイを出さないので、作戦は大成功である。
 ただし、一つだけ誤算があった。遊びの最中にアデルちゃんが登場したのだ。ルーシーが好きなオモチャは、アデルちゃんも好きだ。アデルちゃんは、ルーシーよりも先にオモチャを取って、見せびらかしながら走る。幼稚なルーシーにとって、オモチャよりアデルちゃんの方が魅力的だ。二匹は、そのまま追いかけっこと取っ組み合いに突入してしまう。そうすると、オモチャは邪魔なだけなので、アデルちゃんも適当な場所に放置して、ルーシーとの格闘に専念する。かくして、(あ)の「アデル、ルーシー、持っておいで」という呼びかけも、木枯らしの中でむなしく響くだけである。
 おまけにアデルちゃんはボールも大好きなので、自らフェミナちゃんとボールを追いかけ始めた。いつの間にか、ルーシーも参加して、二匹でフェミナちゃんの邪魔をするハメになってしまった。
 ルーシーはオモチャの引っ張り合いも大好きなのだが、このオモチャではあまりやりたくないようだ。コングが口よりも大きいので、ルーシーはヒモの部分を噛むことが多い。ヒモの部分は、細いプラスチック製の繊維を編んだものなので、噛んだ時に繊維の間に歯が入ってしまい、ルーシーは違和感を感じるようだ。(あ)が「アウト」のコマンドを出す前に、ヒモから口を離してしまう。ふーん、アンタ、噛むのがイヤな物も世の中には存在するのねぇ。