乱暴者の優しさ

 夕方F公園に行くと、公園デビューのワンちゃんが来ていた。コーギーで4ヶ月の男の子である。蒼龍と書いて「ツェンロン」というそうだ。中国系?それともモンゴル系?どちらにしてもインターナショナルだなぁ。左右の目の色が違っていて、左の目が青い。ハスキーみたいな、とても綺麗な目である。
 ルーシーがこの公園に初めて来たのは、生後5ヶ月くらいだったと記憶している。しかし、このワンちゃんに比べて好奇心が強く、物怖じすることなく、他のワンちゃんの臭いを嗅ぎに行っていた。身の程知らずも良いところだが、体格の差などくそ食らえとばかりに、出会うワンちゃん全てに「遊ぼう」と誘っていた。乱暴者の素質は、その頃からあったということか?
 (あ)が、ツェンロンくんに見ほれている間、ルーシーはと言えば、子犬には全く興味がない様子で、美味しいものが落ちていないかと芝生の臭いを嗅ぎ回り、アデルちゃんに「遊ぼう」と誘っていた。
 ルーシーは生後10ヶ月を超えて、精神的に少しは大人になったかと期待していたのだが、相変わらず「食べる」と「遊ぶ」しか頭にはない。ちょっとは自分より小さな(年少の)ワンちゃんに対して、母性や寛容な心が目覚めてくれたら良いのに。
 そういう優しい心は、いつになったら生まれるのだろう?
 ルーシーは「可愛い」というコンセプトは理解しているらしい。(あ)が「ルーシー、可愛くして」と言うと、ルーシーは、歯磨きをして欲しいとか、自分が欲しい物がある場合に限り、お腹を見せて股をパカッと開く。どうやら彼女にとっての「可愛いポーズ」らしい。
 ここ数ヶ月だが、(あ)はルーシーが自分の手を舐める度に、「ルーシーは優しいねぇ」と言って、「優しい」というコンセプトを教え込もうとしている。しかし「ルーシー、優しくして」と言っても、お腹を見せて股をパカッと開くので、これは全く理解していないようだ。
 やっぱり生来の乱暴者には理解できないものなのか?