しょうもない選択

 2日も雨が続いて、公園への散歩は、お預けになっていた。良い天気が続かず、シャンプーのスケジュールが立てられず、飼い主泣かせの春である。
 ルーシーも、やる気が出ないのか、もっぱら昼寝をして日中を過ごしている。時折起きあがって動き回るのだが、自分の毛が抜けて鼻につくのか、よくクシャミをしている。まさか花粉症じゃないだろうね?クシャミをした後は、「ボヘ〜」と、しまりのない表情を浮かべている。
 ルーシーの「やる気」といえば、取っ組み合いや追いかけっこだ。飼い主が疲れることなく、犬の有り余ったエネルギーを消費する一番効率的な方法なのだ。
 股関節の問題がなければ、雨が上がった時点で公園に連れて行き「好きなだけ遊んでおいで」と送り出してやるところだ。走り回った後、ルーシーが見せる「やってやりました!」という表情は、爽快そのものだし、夜も寝付きが早い。沈没といって良いほどのスピードだ。
 それに、本人がシャンプー好きだったら、取っ組み合いで泥んこになっても、なんとかしまっせ。せやかて、水嫌いで自分が濡れたら飼い主を恨む性格の犬となれば、こっちもやる気が出まへんわ、そりゃ。往生しまっせ。
 2日間、ろくな運動をしていなかったので、飼い主の選択肢は2つである。
① 公園に連れて行き、他のワンちゃんと思い切り遊ばせる
② 公園には連れて行かず、もっぱら歩く
 ①なら即日ストレス解消。明日雨が降ったとしても、大丈夫だろう。②なら犬を疲れさせるだけ歩くことになるので、散歩の時間は長くしなければならない。その間、飼い主は一緒に歩くことになる。その代わり、犬は汚れない。
 悩んだ挙げ句、②を選んだ。(あ)にとって、②が苦痛にならない希少な時期だからだ。真夏や真冬は、こうはいかないだろう。ルーシーを連れて桜並木のルートを歩く。
 散歩中、(あ)は、雨を含んで重たげな花を見上げて、「ルーシー、お花が綺麗だねぇ」と話しかけた。はじめは下ばかり見ていたルーシーだが、「そうだねぇ」と言いたげに、時折、白い花を見上げていた。気分爽快という表情ではないけれど、なんとなく嬉しそうだった。歩くだけでも気分転換になったら良いなぁ。