犬体験

最近、ルーシーが立ち寄る遊び場所に子供達が集まるようになった。保育園から小学校中学年くらいの子供たちだが、どうも皆、自宅では犬を飼ったことがなく、犬のことを知らない子が多いようだ。この子たちにとっては、この遊び場所で出会うワンちゃんが、最初の「犬体験」らしい。
 昨日(あ)は非常に驚いた。小学校中学年くらいの女の子が近づいてきて、「ルーシーにエサをやりたい」と言い出した。(あ)はこの子に会った記憶がないので、犬のことを知らないのではないかと思い、エサのやり方を一から教えた。ルーシーは人に飛びつくことが多いので、うかつに注意せずにアプローチをさせて、相手にケガを負わせては困る。「まず、『ルーシー、お座り』と言って、相手を座らせて、手にエサを乗せて犬の顔の下から出す。手は水をすくうようにちょっと丸めて、その上にエサを載せてね。」(あ)は念のため、女の子の前でデモンストレーションをして見せた。
 ところが彼女がエサを与える段になって、「やっぱ、いいや。」と言い出した。足下では、ルーシーが食べ物をもらえると思い、コマンドが出される前にお座りをして待っているのに。「だって、ツバが手に付いたらイヤだもん。」
 「エサをやるから、少し分けて」と言われて与えたら、犬にいろいろな芸をさせて、ご褒美をやらずに、どこかに行ってしまったという子もいる。あるワンちゃんは、傘でつつかれたり、目の前で傘を広げて脅かされたりしたらしい。はっきり言って、この子たちは想像力が欠けている。人間でも、やられたらイヤなことは、犬だってイヤなはずだ。人間じゃないからと言って、何も感じないはずはないのだから。
 何事も最初の経験があるものだ。犬を飼う側としては、犬という動物を知らない子供が、自分のペットを通じて、犬が好きになってもらえたら最高だ。しかし、それが無理な場合には、少なくとも相手を犬嫌いにはしたくない。最初の経験で犬に対して悪い印象を得た場合には、それが後々まで残ることが多く、犬が苦手なまま大人になってしまうことが多いからだ。そして、そんな大人に育てられた子供は、犬に触れることすら許されないだろう。
 もしもこのブログを読んでいただき、ご自身が犬を飼った経験がなく、子供に犬とふれ合わせたいと考える方がおられるなら、この場を借りてお願いしたい。誰かのペットにさわりたいなら、飼い主さんに「さわっても良いですか?」と、あらかじめ訊くように、親御さんからお子さんに教えていただきたいのだ。
 これは、単に飼い主の許可を得るために訊くのではない。犬を全く知らない自分がさわっても、ペットは大丈夫な健康状態か精神状態にあるかを確認する意味もある。発情期や性格など、さまざまな面で「ペットにさわってはいけない」ことがあるからだ。また、質問すれば、飼い主は答える時に「大きな声を出さずに近づいてね」とか「飛びつくから気をつけてね」とか、必要な注意を与えられる。事故の発生も減らせて、お子さんがケガやイヤな思いをしないで済む。
 しかし・・・ツバが手に付くのがイヤなら、犬は無理だな。