犬連れOK?

 先月ルーシーを連れてドッグカフェを訪れた際、横浜から来られたという、愛犬のミニチュアダックスを多頭飼いされている飼い主さんに出会った。お話によると神戸に宿泊しておられ、観光しようと思っていたが「関西は犬連れOKのところが少ない」と嘆かれた。関東では、ショッピングモールの中で犬を連れて歩いても良いそうだ。しかし、関西では駐車場から犬を出すことすら難しいという。
 盲導犬や介護犬として許可を受けていない限り、自分の犬をスーパーなどの商業建築物の内部には入れられない。これらのサービス・ドッグが許可を受けるのでも、行政担当者や専門家が何回も面接やテストを行い、その犬が他の人たちに迷惑をかけないか、与えられた職務を果たせるかを見極める。公共交通機関を利用するためにでも、何回もテストをするという。それほど世間一般の人々は、犬を公の場で受け入れ難いと考えており、犬が自分の住んでいる家やコミュニティを出ることは、非常に難しいことになっている。
 犬連れを許可しない理由として、いろいろな問題が考えられる。飼い主や犬のマナーの問題、施設管理にかかるコスト、犬がお客さんに危害を与えた場合のモール運営組織が負うべき責任、レストランやトイレなどの衛生管理、犬を良しとするなら、ペットがニシキヘビやヤンバルクイナでもOKか?等々。少し考えただけで問題は山ほどあるし、そう簡単にOKの結論は出せないだろう。
 先日、米国フロリダ州で、俗称"doggie dining bill"なる法案が可決、州知事が署名した。これにより、犬と飼い主が一緒に屋外のレストランで食事できる可能性が出てきたそうだ。
 フロリダ州オーランドでは、顧客の要望から、屋外のレストランでワンちゃん用メニューを用意するところが増えてきた。しかしながら、屋外といっても、犬が人間のレストランで食事することは、衛生管理上の規制や法律に反する。そこで、今回の法律では、3年間の試験プログラムを通じて、犬と飼い主が屋外レストランで一緒に食事をして良いかどうかを見極め、市や郡がこれを判断し、許可する権限を与えることになる。市や郡が許可する場合でも、最終的な判断は、それぞれのレストランに委ねられ、独自に犬連れ客を受け入れるかどうかを決めることになる。
 この法案については、犬の飼い主さんの間でも、意見が分かれていたようだ。ある飼い主は、バッグの中に犬を隠してレストランに入り、何回も外につまみ出された経験のあることから、諸手をあげて歓迎しているようだ。一方「犬と一緒に食事するなんて気持ち悪い」という飼い主さんや「公の場で犬に食事をさせるなんて、あまりにも犬について無知だ」という飼い主さんもいる。
 今のところ、この法律は屋内のレストランについては対象外なので「わんわん物語」が現実になることはないだろうけど。