お出かけは大騒ぎ

 何が楽しいのか知らないが、ルーシーは車に乗るのが大好きだ。ガレージや車のドアを開閉する音、エンジンの音を聞くと、鼻をキュンキュン鳴らして「一緒に連れてって〜!」と訴える。
 ルーシーが廊下で(あ)と遊んでいて、偶然(た)が駐車場から車を出すと、(あ)が側にいることや、自分がそれまでやっていた遊びをすっかり忘れて、廊下を突っ走りクレートがいつもの場所にあるかどうかを確認する。クレートがなければ、自分は連れて行ってもらえて、あれば家でお留守番ということになるからだ。
 昨日(た)は、ルーシーを連れて車で出かけることにした。出かけるといっても雨だったので、クレートからあまり出してはもらえない。そんな時でも、ルーシーは車に乗りたがる。
 出かける前に、ルーシーを廊下に出して洗面所でNo.1をさせる。ところが(た)は、それより先に、クレートを車に積んで駐車場から車を出してしまったために、出かけることがバレてしまい、ルーシーはNo.1どころではなくなった。「早く車に乗りたい」と玄関で鼻を鳴らし続ける。(た)が家の中に戻ってきて「ルーシー、シーシーしなさい。シーシーしたら連れて行ってあげる」と言っても「早く〜早く〜!早く車に乗せて!」と訴える。
 「シーシーしないと連れて行かないよ」と言われて、一旦は洗面所に入るものの、自分が用を足している間に(た)が出発してしまうのではないかと、すぐに廊下に出てしまう。
 洗面所の入り口に立った(た)に「お父さんは、待っててあげるから」と言われても、ルーシーはトイレシーツの上に座ろうとしない。「だって、私がシーシーしている間に行っちゃったらイヤだもん」ということらしい。普段なら、独りでないと用を足さないクセに、こういう時は置いて行かれたくないから、相手も必死である。しかたがないので、(た)は洗面所に入り、ルーシーから逃げられない場所に立った。
 そこでルーシーは、ようやく安心して用を足し始めたのだが、車に乗りたい気持ちが強すぎて、最後までトイレシーツの上にじっとしていることができなかった。つまり、放出しながら廊下に出てしまったのだ。そして玄関まで走っていき、満面の笑みを浮かべて(た)を振り返っていた。
 ルーシーは「お父さんに言われた通りにしたよ。だから一緒に連れて行ってくれるよね」と言いたげだ。一方の(た)は、洗面所の掃除という仕事が追加されて、「オマエ、本当に子供だなぁ」と苦笑い。階段の最下段に座って様子を見ていた(あ)は、お腹を抱えて笑っていた。