オイオイ、ピーター。どこ見てんの?
 視線の先はフリスビー
 優しいピーターは紳士です
 見るたびに惚れ惚れするワンちゃんである。眼光鋭く、足が長くて全く無駄のないスリムなボディー、そして素晴らしい瞬発力。走りだす瞬間に、エネルギーが体の内部で爆発するのが見えるようだ。胴長短足、毛むくじゃらで鈍くさいルーシーと比べると、全く違う犬種みたいだけど。
 昨日の夕方、ピーターXくん(以下、私が勝手につけている「ピーちゃん」という愛称で書く)が、散歩の途中で我が家に立ち寄ってくれた。ピーちゃんの家には、もう一匹のワンちゃんマイケルがいるので、ママさんは忙しいときは自転車で散歩させておられる。二匹とも、それぞれルーシーにはいつも優しく接してくれるのだが、まれに二頭立てで散歩をしてもらっている時は、ルーシーは、なぜか怖がって近寄ろうとしない。
 ピーちゃんは、アジリティやフリスビーが得意だ。ただしフリスビーやボールを愛するあまり、捕まえたフリスビーを離そうとしなかったり、ボールを食べちゃったりするらしいけど。我が家の狭い庭に入るや、庭に落ちていたボールに突進。ママさんがリードで引っ張って、なんとかそのスキにボールを隠す。リードを外すと、ピーターは今度は玄関に走っていき、自転車のかごにあったフリスビーを持ってきた。玄関の門を通って、真っ直ぐ庭に入ったはずなのに、いつ、あそこにフリスビーあるって分かったんだろう?
 ルーシーは、スキを見てピーちゃんからフリスビーを取り上げて、見せびらかす。どうやら自分を追いかけて欲しかったようだ。ところが、ピーちゃんはまた玄関に走っていって、別のフリスビーを取ってきた。二枚あるのが分かっていたの?すごいなぁ。
 目論見が外れて、ふてくされたルーシーは「良いもんね〜。私にはこんなオモチャがあるんだから」と、植木鉢の下に敷くプラスチック製のお皿を持ってきた。驚いたピーちゃんは「何、それ?新型フリスビー?」と興味津々。ルーシーは取られまいと庭の隅にお皿を持っていき、わざわざ低木の陰で伏せて囓ってみせる。ますます興味をそそられるピーちゃん。しかし、欲しいからといって、むりやり取り上げようとはしない。ルーシーが飽きて放り出すのを、じっと見守るだけだ。

 今回、ゆっくりピーちゃんを見て分かったのは、とても心根が優しいワンちゃんだということだ。雄のワンちゃんの中では相性の合わない子もいるそうだが、ルーシーに対して決して乱暴な態度をとることはない。それが分かっているのか、ルーシーは、ますますつけあがり、お皿をくわえて庭の中をウロウロ歩き回ってみせる。その後をピーちゃんは「ねぇ、その新型フリスビー、見せてくれないかな」と、おとなしく付いて歩く。ガキには勝てないねぇ、ピーちゃん。
 狭い庭では走り回るだけのスペースはないけれど、(あ)は少しだけピーちゃんとフリスビーで遊んでみた。フリスビーを引っ張る力はルーシーよりも格段に強い。(あ)が思わず「すごい力!」と言うと、ピーちゃんは少し加減してくれた。また、フェイントをしかけ逆方向にトスアップしても、ピーちゃんはジャンプしてキャッチできる。そして「もっと遊ぼうよ」と誘ってくれる。良い子だねぇ〜。
 ピーちゃん、また遊びに来てね!!