荒っぽい遊び

lucy04142006-09-29

 ルーシーの楽しみのひとつは、公園で他のワンちゃんと走り回り、取っ組み合うことである。(あ)としては、ルーシーが他のワンちゃんや飼い主さん、周囲の人々に迷惑をかけず、本人が楽しいと思う限りは続けさせてやりたいと考えている。犬の一生は短いし、その中で他のワンちゃんとの遊びを楽しめる時期はさらに短い。自分が犬であることを実感し楽しめる時期は、ほんの2〜3年だという。

 幸いなことに、ルーシーと遊んでくれるワンちゃん達は皆、性格の良いワンちゃんで、大きなケガをしたり、させたりすることもない。また、これらのワンちゃんの飼い主さんも寛容で理解のある方々だ。公園を訪れる飼い主さんの中には、犬同士を遊ばせたらシツケが身に付かないと考える人もおられるから、(あ)もルーシーも、遊んでくれるワンちゃんとその飼い主さんのご好意に甘えてしまっている訳だ。
 その一方で、自分の犬を友達とふれあわせ、犬らしい遊びをする−そんな単純なことが、難しい世の中になってしまっている。
 アメリカの南サンフランシスコの公園で、その事件は起きた。
 非番の警察官2名がその公園を訪れたところ、飼い主さんの悲鳴が聞こえた。見れば2匹の犬が取っ組み合いをしていて、一匹の方(ボクサーのミックス、エンジェル)がもう一匹(コリーのミックス)の喉もとに噛みついている。エンジェルは飼い主の制止に従わず、噛みついたまま離そうとしない。そこで警官は発砲し射殺してしまったという。(以上、警官の供述。)
 ところが、エンジェルの飼い主の言い分は全く違っている。あれは「荒っぽい遊び」であって、決して攻撃していたのではない。エンジェルが噛みついたのは相手の犬の耳の辺りだし、そういう遊びをいつもやっている。警官がいきなり銃を取り出したので、自分は後ろに下がってしまった。その次の瞬間には、エンジェルは血だまりの中に倒れていたという。
 この事件に対する周囲の反応はさまざまだ。近隣に住む人たちは、自分たちの子供や犬連れの高齢者が普段訪れる公園で、発砲があったことは恐ろしいと訴えている。また警察内部では、非番の警官が発砲したことに対して内部調査が行われている。
 遊びと本気の境界は、飼い主であっても見極めが難しい。ケガをさせるつもりはなくても相手にダメージを与えることもあるし、遊びのつもりが興奮が抑えきれず本気の戦いに発展することもある。だから自分と相手のワンちゃんの性格や体格、遊び方には充分気をつけなければならないし、自分の犬の状況をしっかり見ておかなければならない。
 ルーシーは「これはアカン」と思った相手には、近づかなくなった。「アカン」というのは、相手のワンちゃんの体格、体力、スタミナに太刀打ちできない、または自分の遊び方が相手のワンちゃんと合わないという意味である。それでも他のワンちゃんと会えば、「遊ぼう」と誘ってみせるから止められないのだろう。一応女の子であることから、失礼なことをしても相手のワンちゃんに大目に見てもらっている。結局、私ら皆さんのご好意に甘えてしまっているのね。でもそろそろ他の遊びも考えなくちゃいけないな。