歩くだけの散歩2

 昨日迷ってしまった「こみち」に再度挑戦することにした。今度は変電所の横から高校に向かって歩く。よくよく見れば、正規のルートにはコンクリート製の目印が立っていたのだが、昨日はルーシーが引っ張るのと自分の足元が悪かったので、そこまで確認する余裕がなかった。おかげでケモノ道に入り込んでしまったらしい。
 正規のルートは、さすがに大部分が歩きやすかった。途中、黒パグを連れた飼い主さんと出会う。こういうところに来るワンちゃんは、公園の常連さんとはやっぱり違うようだ。本人も防寒マントを着用。飼い主さんは杖に長靴と準備も万端。
 「サル、いましたか?」
 いきなり自分の耳を疑うような質問に「ハイ?」と訊き返す。我々が歩いてきた方向にサルが出没したらしいとのこと。ただし、我々もルートの途中から歩き出したので、出没した地区は通っていなかった。その地区の先ではワンちゃんが2匹うろついていて、ある飼い主さんとワンちゃんがつきまとわれたと聞いていたからだ。ワンちゃん達は首輪を着用しているものの、ノーリードだったし側に飼い主さんの姿は見あたらなかったという。ルーシーの逆ギレを抑え、ノーリードの犬二匹に対応するのは、とても無理だから、そちらの方向に行くのは避けていたのだ。
 自分たちの事情を説明したら「う〜ん、ここいらの農家は犬を野放しにして飼っている人もいるからねぇ。」と仰る。(あ)が知る限り、近隣の畑や農家のすぐ側には大きな道路があり、結構なスピードで車が行き交う。そんなところで野放しにするだろうか?ま、捨て犬でなく誰かにケアをしてもらっているなら、その方が幸せに違いない。
 フレンドリーなパグちゃんと別れ、再び歩き出す。ルーシーは山に入ると、側に飼い主がいることや自分がリードを着用していることを忘れてしまうらしい。リードをグイグイと引っ張って木々の中に入ろうとしたり、こちらの制止を聞かずに興味を引かれたものに突進していく。
 ルーシーは急に立ち止まったり走りだしたりを繰り返すので、自分たちの位置が車道から離れていることと周囲に誰もいないことを確認して、ガケを下りる間リードを手放した。ルーシーはこれ幸いと、あちらこちらで取り憑かれたようにニオイを嗅ぎまくっていた。やっぱり犬の祖先は狼で、山に入ると野性が触発されるのかねぇ。(あ)が呑気に構えていると、ルーシーは急に地面に体をこすりつけ始めた。・・・嫌な予感。
 「ルーシー、ノー!」コマンドを出しても全く聞く耳を持たない。走り寄ってルーシーの胸元に鼻を寄せると、鼻が曲がるほどクサイ!
 2日前にシャンプーしたばっかりなのに!!!犬かどうかも分からない動物のウ○チにスリスリしていたようだ。首根っこを捕まれたルーシーは唸りながら歯を剥いた。もう勘弁ならん!!
 悪態をつきながら高校まで歩き、舗装道路に下りて急いで帰宅したので、結局サルが本当にいたのかどうかは定かではない。たとえ、いたとしても(あ)の悪態を耳にして、恐れをなして逃げていっただろうなぁ。