エネルギーで語れ〜Cesar’s Way

 「心に留めておくべき非常に重要なことは、あなたの回りにいる動物はすべて−−特に生活を共にしているペットは−−毎日瞬間瞬間のあなたのエネルギーを読み取っているということだ。」
 「あなたは青筋を立て、犬に向かって『ソファーから下りろ』と叫んでいるかもしれないが、リーダーとしてのエネルギーを発散しなければ−−また犬が『頼むからソファーに乗せてくれ』としつこくせがむようなら乗せてやっても良いと心の奥底では考えているならば−−犬はあなたの本音を察して、満足するまでソファーに乗ることになるだろう。犬は、あなたがいつまでも叫び続けないことをすでに知っているからだ。」
 シーザー・ミラン氏は保護施設も見放した問題犬を多数扱っており、毎日このような犬30〜40匹を引き連れて走っている。驚いたのは、これらの犬はリードを着用していないにも関わらずミラン氏をアルファ・ドッグ(群れのリーダー)として受け入れ、犬同士で喧嘩をすることなく、氏を先頭に一群になって従っているという。またリーダーがいない犬は、多くの場合、精神的に不安定になり問題行動を起こすというのが、氏の見解だ。
 犬に自分をリーダーとして認識させるためには、言葉ではなく"calm-assertive energy"が必要だという。この"calm-assertive energy"とは、静かだが相手に有無を言わせぬパワーだ。平たく言えば、リーダーのオーラみたいなものか?このエネルギーを発散していれば、犬とのコミュニケーションに言葉やコマンドは要らないという。
 本の中では、ビビリ犬と女優の飼い主の例が紹介されている。この犬は自分の影にもビビってしまう超小心者で、散歩に連れ出すこともできなかった。ミラン氏のアドバイスに従い、飼い主は静かだが圧倒的なオーラを持つ人物を演じることになる。彼女が選んだモデルはクレオパトラだった。飼い主が家の外でもクレオパトラのように自信に満ちた態度でいたら、犬は安心し散歩に出られるようになったという。氏に言わせれば、たとえそうでなくても、このような人物を演じることで、犬は精神的な均衡を保つことができるらしい。クレオパトラとはいかないまでも、このような人物の一番手近な例は「母親」らしい。
 実験大好きの(あ)は、昨日の夕方、さっそくルーシーを相手にやってみることにした。散歩から帰宅後、足を拭こうとすると、ルーシーは今でも歯を剥き唸る。(あ)は黙ったまま、怒りの気持ちを自分の中に膨らませ、私は母親だと自分に言いきかせる。
 「ノー」相変わらず、ルーシーは唸っている。何がいけないことかをはっきりさせないから、静かに言った後で、しばらく黙る
 「ルーシー」静かに呼びかけたところ、ルーシーは、頭を(あ)の膝小僧に押しつけ、こちらに顔を見せないようにして唸る
 「ルーシー、見て」ますます頭を下げ、意地でも顔を見せないようにしようとするルーシー
 「コラ」(あ)が手でルーシーの体を押しやると、ルーシーはクルリと後ろを向く
 「こっちを見なさい」(あ)がルーシーの頭をこちらに向けようとすると、ルーシーは唸りながら一回転して後ろを向く。回転している途中で、ルーシーは絶対(あ)の目を見ようとしない。このやろ〜!
 さては、エネルギーを発散しすぎたか(ウソ)。なぜにオマエは自分が叱られた理由を考えて、それを止めようとしないのだ?ホントに困ったもんだよ、このドラ娘。