食うな!2

 先日の授業で習ったことの重要性を痛感する事態が起きた。ルーシーが公園に落ちていたタイコ焼きを食べてしまったのだ。
 夕方、公園に行ったところ、入れ替わり立ち替わり、思った以上の数のワンちゃんが集まった。久しぶりに追い駆けっこを楽しんだり、他のワンちゃんのボールやオモチャを追いかけたり。皆それぞれに楽しい時間を一緒に過ごしていた。ルーシー用に持参した飲み水もなくなってしまい、(あ)は直ぐ側のトイレに水を汲みに行くことにした。
 ルーシーは、昔から(あ)が側にいなくても平気だった。それどころか子犬の頃は遊びに夢中で、(あ)が側を離れたことに気が付かないことも多かった。今回も、クーちゃんと走っている間に水を汲もうと思っていた。かかる時間は、ものの1分程度のはずだ。
 ところが、なぜかルーシーは(あ)を追いかけてきた。「ルーシー、遊んでおいで」と声をかけても、側を離れようとしない。仕方がないので、大急ぎでトイレの中に入りペットボトルに水を詰める。
 次に(あ)が目にしたものは、ルーシーの口にぶらさがる何やら茶色の丸いものだった。
 「ルーシー!」声をかけられ、ビクッと震えるルーシー。怯えた目で一瞬チラリとこちらを見たが、次の瞬間にはブツをくわえたまま逃げ出していた。追いかけようとすると、わざと藪の中を通り、こちらの進度を遅らせようとする。完全に意図的犯行である。
 追いかけ回して皆の元に戻ったときには、すでにブツの姿はなく、ルーシーの胃に収まってしまっていた。残っていたのは、タイコ焼きを包んでいたとおぼしきビニールの袋の切れ端だけだった。
 現行犯で取り上げることはできなかったにしろ、拾い食いは叱らないといけない。歯を剥き唸るルーシーの首根っこを掴んで「いけない」と注意。なおも歯を剥き唸り続けるので、(あ)がゲンコツを見せ「ルーシー、やるの?」と言ったら、今度はルーシーはルイちゃんのパパさんの元に逃げ込んだ。コイツ〜、許さん。ヘタレのくせに飼い主に反抗的であるばかりか、都合が悪くなったら、他の飼い主さんに助けを求めるとは、なんという卑怯者だ!断じて許さんぞ。
 ルイちゃんのパパさん曰く「タイコ焼きだけだったら、大丈夫でしょ」とのこと。しかし小豆は消化が悪いから要注意とのこと。茶色の物体の中身は、あんこだったのか、それともクリームだったのか?外側から見ただけでは分からない。とりあえず、今晩は様子を見ることにしよう。