本を読むワケ

 「ルーシー・ヘタレンコ・ギャクギレビッチ・イ○イ」我が家のボーダーコリータヌキである。
 生来、反抗的な性格だったルーシーは、自分が嫌なことをされると、体の成長とともに飼い主に歯を剥き唸るようになった。これまで考えつく限りの方法で矯正しようとしてきたが、どれも効果はない。歯を剥き唸る度に飼い主に叱られ、直ぐにゴマをすって謝るくせに、次の瞬間には忘れているという、いわゆる「懲りないワンコ」なのだ。
 ルーシーがこのような不遜な態度をとるのは、嫌なことをされた場合だけだし、もっぱらその対象は飼い主だけなので、(あ)は「コイツはこういう顔なんだ」と思うことにし始めた。そんな時、周囲の飼い主さんが「このままだったら、エライことになるよ」と忠告して下さった。そして、飼い主のリーダーシップを確立することが急務となった。
 さまざまな訓練士さんや他のワンちゃんの飼い主さんから助言をいただいて、いろいろと試してきた。その成果かどうかは定かではないが、以前に比べたら、ルーシーは人間のリーダーシップを受け入れ始めたと思う。それでも、嫌なことを我慢できるところまでは至っていない。相変わらず歯を剥き唸る。
 不思議なのは、命じられていないのに、自分からお腹を見せながら歯を剥き唸ることだ。夜(あ)がホットカーペットに横になりテレビを見ていたら、ルーシーが呼ばれもしないのに側にやって来る。そして(あ)に体をくっつける(寄りかかる場所が(あ)の胸ではなくお腹辺りというのが腹立たしいけど)。体を撫でてやると、そのうちウトウトし始める。眠たいところで体を触られるのがイヤなのか、歯を剥き唸る。(あ)が「ん?」と視線をやると、ルーシーはお腹を見せて歯を剥き唸るのだ。
 体を触られるのがイヤなら、別の場所に行ったら良いじゃん。こちらはアンタを呼んでいないんだからさ。それに「服従します」というのなら、その顔は何なわけ?顔と態度が矛盾してるでしょうに。
 犬に関する経験や知識のある方々に相談したけれど、皆さん首を傾げるばかりだった。反抗心の芽は、つみ取ったつもりだったが、またムクムクと育ってきているのだろうか?人間のリーダーシップが確立されていないのだろうか?一体、コイツは何を考え、何を不足とし、何を訴えているのか?という訳で(あ)は犬に関する本、特に犬の心理に関する本を読むようになった。
 およそ犬のシツケ本や他人のアドバイスに頼るのは、犬と共に生活する上で何かしら問題があるからではないだろうか。問題がなければ、わざわざ本なんか読まないだろう。得た情報の中には、実際にルーシーに試してみて効果があったもの、なかったものもあった。このブログに紹介しているのは、何にせよ問題に悩む飼い主さんにとって、解決の糸口になればと考えてのことだ。ルーシーでは効果がなかったかもしれないが、他のワンちゃんなら効果があるかもしれない。試していただいて効果があれば、本を読んだかいがあったというものだ。
 だから(あ)は能書きや講釈を垂れ『犬とは・・・』などと講演会をするような立場にはないし、そんな気は毛頭無い。そんな風に自分が見られていることは心外だし、少し寂しい気がする。