記憶力テスト〜”How Dogs Think”

 本の中に記憶力テストが紹介されていたので、ルーシーを相手にやってみることにした。
 用意する物は、5〜6個のオモチャ。そのうち一つを手に取り、犬に見せる。そして、他のオモチャと一緒に並べて、犬に一つを選ばせる。先程見せたオモチャと同じ物なら、おやつをあげるなり、褒めるなりする−−というもの。
 通常の知能を持っている成犬なら、何回かデモンストレーションをしたら、要領を覚えるのだという。(あ)は、ルーシーには、とても5〜6個は覚えられないと考えたので、選択肢は2つに絞ることにした。二択の方が失敗する率は少ないし、スピーディーにできる。形状が全く違う方が覚えやすいだろうと、選んだのはロープとボールだった。犬に何かをやらせる時は、極力失敗させない方法を飼い主が工夫しないといけない。U先生の言葉である。
 ところが、(あ)の工夫もルーシーには理解できなかったようだ。そりゃ最初は失敗するだろうと思っていたけどさ。

「見て、ボールだかんね。」     「だから、何?」     「コレだかんね。コレを選んだらスナギモあげる。」

「なんでそっちを選ぶかなぁ。」  「アレ?なんかお母さんに言われてたと思ったんだけど、何だっけ?」

 (あ)は、ルーシーがボールよりロープが好きなことをうっかり忘れていた。ボールとロープを並べた時点で、ルーシーの頭の中では、(あ)の指示が「好きな方を取って良い」に取って代わられたようで、何回やってもルーシーはロープばかり選ぶのだ。仕方がないから、正解をロープにしてやってみる。当然ご褒美がもらえて、本人も理解できた様子。ヨシヨシ。じゃ、ボールね。
 ところが正解をボールにしても、ルーシーはロープを選ぶ。当然スナギモはもらえない。それでもロープを選ぶのは、なぜだろう?ルーシーにとって正解のご褒美は、単に「もらえたらラッキー」という代物なのだろうか?う〜〜ん。挙げ句の果てに、ルーシーは(あ)にお尻を向け、拗ねたようにロープをカミカミし始めた。
 絶対に失敗のない記憶力テストってないでしょうか?