レッツ・ダンス!なのだ。8

 (あ)は悩んでいる。問題は3つ。1つは自分がトロイこと。どうも指示が遅く、褒めるタイミングがつかめない。そして、さらに次の指示が遅くなる。また、ここで褒めなきゃいけないという部分、犬の集中が切れそうな部分に相手を褒めるべきだと頭では分かっているのだが、ルーシーは、その点、非常に現金なのだ。ひとつ指示に従ったら、その度にご褒美をもらわずには承知しない。褒め言葉を与えるだけでは、モチベーションが急降下してしまうタイプで、昨日の一対一の練習中では、いきなり座り込んでストライキをした。クリッカーを使ってみたが、ヨダレが大量に出るだけ(笑)。ルーシーのフラストレーションは貯まる一方のようだ。
 一つは、このプログラムが新しく覚えた技を中心としているので、次にとるべき動作の用意をしていると、ご褒美を与えるヒマがないことが挙げられる。要するにオタついてしまうのである。ひとつひとつの技はなんとか問題がないのだが、連続するとメタメタになる。こんなんで仕上がるのか?
 全くやる気のないルーシーを放っておいて、(あ)は一人寂しく庭で指示の練習をする。外から丸見えなので、この姿を見られたら、変人扱いされるだろうなぁ、トホホ。でも、ルーシーごときにバカにされるほど、くやしいことはないのだ。人間様のプライドを見せてやる!
 2つ目は、指示に対するルーシーの反応が予想よりも遅く、動きがトロイこと。アラウンドなどは「あ〜あ、アラウンドかい」と、ドナドナ牛みたいに歩く。スピードアップを図る方法はないものだろうか?
 3つ目は、決め技がないこと。「バック」→「ターンバック」の後に決めポーズをさせなければならないのだが、これがなかなか浮かばない。A先生は「スタンド」と「ベッグ」を勧めてくださったが、ルーシーは苦手のようだ。お座りにしろ、立っている場合にしろ、支えなしに後ろ足二本で体を支えることができない。背中を壁に向けて練習しようとすると、なぜか必ず逃げ出す。飼い主を信用しておらず「嫌なことをされる」と警戒しているからか、股関節の問題なのかどうかは不明だ。ダンスでは、後ろ足で立ち上がる技は多用されているから、覚えて欲しいのはやまやまなんだけど。強制してダンス自体が嫌になっても困るしねぇ。
 決め技になるかどうかは分からないけれど、「ニー(knee)」という技を教えている。ルーシーを座らせ、(あ)がその側で、一方の足を立て膝にしたら、膝の上に前足を乗せるというもの。膝に胸から寄り掛かることもできるから、後ろ足ばかりに体重がかからない。・・・と思って教えているのだが、なぜか乗せるのは左足だけ。なんでかね〜?