ちゃんと

 土曜日はシツケ教室。前回から2週間あった訳だから、本来なら練習を積んで成果が見せられないとおかしいんだけど。どーーーも(あ)のやる気が出ず、サボってしまった。
 自分でもダンスの問題点が良く分からない。この二週間、一つ一つの技をきっちりさせるよう強化してきた。ラージ・サークルでは「もっとライト!」とジェスチャー付きでコマンドを出したら、ルーシーは、庭の隅に積んだ雑草の山を飛び越え、フェンスと木の間を縫って蜘蛛の巣を顔につけて走り、大きく回るようになった。さらに庭から玄関先まで走って行ってしまうようになった。ま、これはこれで問題はあるけど、本人はこちらの意図が理解できるようになった訳である。伸縮孫の手を使ったら、ほんの少しだけど(あ)から遠い場所で体を回転させることができるようになった。しかし音楽が鳴ると、ダメなのだ。
 音楽が鳴ると(あ)同様にルーシーも焦ってしまうらしい。基本的に「クルン(後ろ向きに(あ)の周囲を回る)の後はラージ・サークル、そしてターンバック」だということは理解しているから、クルンの後、正面にダッシュして出なければならないのに、その距離が短い。右回りに走り始めても、いつターンバックの指示が出るかが気になって速度がでない。結局ルーシーのラージ・サークルは、なんだか犬が飼い主の回りをウロウロしているだけの代物に見える。ルーシーは、一生懸命やっているつもりなんだけどなぁ。やっぱ、これじゃダメなんだろうな。
 「こんな状態を見せなきゃいけないなんて、先生に悪いなぁ」と潮垂れて教室に行ったら、なんとCDプレーヤーが不調。音楽が流れない。他のCDなら大丈夫なのに、なぜか「フニクリ」だけがダメ。正直ちょっとホッとしてしまった。
 という訳で、ジャンプを教わる。以前通っていた教室で小型犬でも飛べる高さのハードルを練習したのだが、ルーシーは全く苦手だった。ハードルを迂回してしまったり、よしんば飛んだとしても、前足と後ろ足がバラバラなので「どったん」という感じ。ボーダーらしいキビキビしたジャンプではなかった。椅子に腰掛けて、足を少し挙げてフードで誘導しながらジャンプさせる。ジャンプのコツは、飛ばせる前に「まだよ〜、待てよ〜、待てよ〜」と相手を焦らせ、次に「ジャンプ!」と声をかけながら、手に持ったフードをちょっと浮かせるように動かすことらしい。元々やる気のないルーシーだったが、なんとなくジャンプらしくなってきた。次は(あ)が立った状態で片足を浮かせて、そこを飛ばせる。ルーシーはなんとか飛んで見せたが、ちょっと「どったん・ジャンプ」になってしまう。問題は、こちらの足や体がフラフラしてしまい、ルーシーが思い切りよく踏み切らないことだ。う、腹筋鍛えんとイカンわ。こちらに予想外の課題が出てしまった。
 (た)に「せめて一曲はちゃんと踊れるようになれよ」と言われている。問題は「ちゃんと」とはどういう状態かなのだ。今の状態でも、ルーシーは一応全ての技をやっている訳だから「ちゃんと」と言えなくもない。ラージサークルが小さくなったり、ターンバックの位置が飼い主に近かったり、そういう部分を度外視したら、今の状態でも「ちゃんと」だろう。だけど、やっている本人には達成感がない。
 次の授業では、もう少しマシなパーフォーマンスができるように頑張ろう。