無視作戦

 前日の授業で(あ)の指示に全く従わず、大いに叱られ、挙げ句の果てに「可哀想な私」を演じたルーシー。ハラワタが煮えくりかえり、その場で思わず暴れそうになった(あ)。どうも私たちは、他のボーダー+飼い主さんのコンビに比べ次元が低すぎる。次元うんぬんは別として、(あ)には最近気になることがあった。ルーシーが、何事に対しても情熱を見せなくなったことだ。
 子犬〜1歳前後のルーシーは、他のワンちゃんとの取っ組み合い+追い駆けっこが三度の飯よりも好きで、最初に公園に入り、最後に公園を出るという生活を送っていた。そのうち、食べ物命(Food is my life)になり、ワンちゃんと飼い主さんに会っても、まず飼い主さんに甘えるようになった。この頃は以前通っていたシツケ教室でも、ルーシーは床にヨダレを垂らしながら、必死で動いていた。
 2歳が近くなり少し落ち着いてきた一方で、昔のようなぐぉぉぉという燃える情熱をなかなか見せなくなった。確かに、これまで「まったり」をシェーピングしてきた訳だから、ルーシーに昔どおりの情熱を見せろと言うのは矛盾しているかもしれない。ただ、昔のように何らかの刺激でスィッチが入り、スィッチが入ったら、こちらが何を言おうと聞こえない、聞く耳を持たないという状態が見られなくなってしまった。
 取っ組み合い+追い駆けっこも、今では相手はクーちゃんだけ。それも気が向いた時だけ。前日思いっきり叱られた時には、特別なおやつを見せて呼んでも知らん顔。一体、コイツは何をしたいんだろう?
 ダンスで指示に従わない時の対策等、いろいろ考えることがあって、(あ)はルーシーを無視することにした。今ルーシーを見ても、ハラワタが煮えくりかえりモツ煮込みになりそうだから、ということもある。顔を合わさない、目を合わさない、声をかけない状態で、とりあえず月曜日の夕方まで過ごす。あっちがシビレを切らし、自分から「お母さん、かまって〜」と来るまでは知らん顔をする。
 作戦内容を(た)に漏らすと「週末は、アンタ、大体ルーシーをかまってないじゃん」と一言。うーん、じゃぁ、あまり効果は期待できないか。それでも、考えてみようと思う。うむ。