できること

 知り合いのあるラブの飼い主さんから「公園に来てなかったでしょ?」と言われ、ちょっと驚いた。(あ)はズボラなので、大抵夕方の散歩はF公園なのだが、謎の山公園へ行っていたりしたので、姿が見えなかったことに心配して下さっていたらしい。
 「もう使わないフリスビーがあるから、あげようと思って」と飼い主さん。そのワンちゃんは、靱帯を傷めてボール遊びやフリスビーもできなくなってしまったのだ。(あ)としては、飼い主さんが普段から非常にワンちゃんの健康に気を配っておられたことを知っていたので、申し出はありがたい一方で、いただいて良いものやら複雑な気持ちになった。
 このワンちゃんは走る時、筋肉が躍動し全身に喜びが溢れ、(あ)はその姿を見ているだけで幸せだった。それなのに走れなくなってしまった。以前通り、ルーシーはボールを追いかけたり、友達と取っ組み合いをしたりしているが、そんな姿を見せること自体が辛くて、なるべく離れた場所を選んだりしていた。飛んでいくボールを見たら、自分も走りたくなってしまうだろう。また、そんなワンちゃんを側で見ている飼い主さんだって、辛いはずだ。
 「公園に持ってきていたんだけど会えなかったから」それを聞いて恐縮してしまった。「ルーシーも股関節が正常ではないから、あげて良いのか分からないんだけど」と気遣いまでしていただいて。
 おずおずと「外で飛ばさなくても、家の中で転がして遊びませんか?」と訊くと「二度と使わないし。あったら遊びたくなるし。」ますます、いけないことを訊いてしまったと後悔。
 それならばと、ありがたくいただくことにした。
 靱帯や骨には、単なる外傷だけでなく、老化により問題が発生する。老化は犬種よりも、個々のワンちゃんによってスピードが違う。だから獣医でも、老化の程度を見極め予防策を講じるのは難しく、大抵は問題が起こってから老化に気づくことになる。だから、少なくとも飼い主としては「靱帯や骨の問題は遅かれ早かれ自分の犬にも起こることだ」と認識しておかなければならないのだろう。
 そして自分の犬が今できることを、できるだけ長く続けられるようにしたいものだ。(あ)にできることはないに等しいけれど、何かこのワンちゃんにできることはないだろうか?
 現状維持のために、どんなことができるのか−−少し調べてみたいと思う。