マッサージとストレッチ4

 ルーシーは子犬の頃から体を触られるのがイヤだった。基本的に飼い主を信用していないのだろう。頭を撫でられても、褒められているとは思わなかったようだ。背中をポンポンと軽く叩かれると、今でも「?」という表情を見せる。特に下半身を触られるのがイヤで、今でも後ろ足を触ろうとすると「何するの?」と鼻面を寄せてくる。
 いつの頃からか、朝起きると伸びをした後に「揉んで〜」とやって来るようになった。寝た後は、特に首筋から肩胛骨辺りが凝るらしい(笑)。この時ばかりは妙に甘えっ子である。ただし、触って欲しくない場所は依然触ってもらいたくないらしい。(初めは「後ろ足が痛いのかしら?」と思ったが、以前、獣医さんに確認したところ、そうではないらしい)後ろ足を揉んでやろうとすると座ってしまう。そして、ひっくり返って「お腹を撫でて〜」と要求する。
 マッサージを始めたところ、体を触られてもリラックスする時間が長くなった。Effleurageから始めたのだが、首筋・肩胛骨辺りを触っても、目を閉じてじっとしている。ところが同じように腰から尻尾の付け根に手を滑らせると、起きあがろうとしない代わりに筋肉を緊張させてしまう。緊張した状態では、マッサージは効果がない。少しずつ部分的に導入しようと考えている。


「これ以上、何に化けろと?」「やれやれ、いい加減にして欲しいな」「ヒマやし雑草食べよ」
背部筋肉の表層的なマッサージ バッククロス
 Effleurage(軽擦法)で犬がマッサージに慣れリラックスしたら、指を使ったバッククロスに移る。バッククロスは結合組織のマッサージ方法で、背部筋肉の表層をほぐす効果がある。
 バッククロスの目的は、筋肉の細いすじを結合組織から離すようにすることにある。すじが結合組織に癒着した状態だと、断裂などにより血液の循環に支障をきたすことがあるからだ。犬がケガを負っていることに飼い主が気づかず、休息させずに運動させ続けると(または、マッサージを続けると)、傷ついた組織にさらに組織や筋繊維がくっついてしまう。また、犬が筋肉を萎縮させ、緊張させると、組織と繊維が癒着することがある。乳酸や老廃物が蓄積すると血液の循環が悪くなる。これは高齢犬に多く見られる状況だ。しかしバッククロスを利用することで、特に表皮や結合組織の中で、血液の流れを高めることができる。

 Effleurageと同じ位置に座り、両手を犬の背中に置く。両手の親指とその他の指を動かしながら、ギュッと皮膚をつまむ。(親指と人差し指でつくる四角形?十字形?をギュッと小さくするように動かす)つまんだ後に力を抜くのを繰り返す。首から尻尾の付け根までの部分を同じ方法で、約二分間マッサージを施す。