二代目襲名とその顛末

 土曜日に新しい車がやって来て、同じ日に投げ練習に誘ってもらっていたので、ルーシーを連れて雪が舞い散る中、謎の山公園へ。一回のドライブで、二代目「結構毛だらけ号」を襲名することになった。
 一号は、ルーシーが我が家に来る随分前から乗っていたセダンで、後部座席にバリケンやキャリーを押し込んでルーシーを載せていた。ルーシーは、この車が大好きで載せる度に大興奮。バリケンや、それより小さなキャリーの中でも吠えまくりグルグル回っていた。おかげで前部座席での会話は全く聞こえず、長距離ドライブでは(あ)は頭痛に悩まされることが常だった。
 二号はハッチバックでトランクはないけれど、後部座席を倒してキャリーや荷物を置くことができる。キャリーの中に入れてしまえば、セダンの時よりも中から見える風景は減る。外部刺激が減るから、少しは静かになるだろうと考えていた。
 ところが、どっこい。
 ルーシーは、いつもと違うことが、かなりご不満だったらしく暴れ始めた。おかげで、キャリーの位置はどんどん後ろへとずれていく。次に、レインコートを囓り始めた。公園までわずか15分の運転で2回も路肩に止まって、キャリーの位置を直したり、レインコートを脱がせたり。騒いでいたのが静かになると、絶対何か悪さをしている。(あ)は助手席から首を捩ってルーシーの様子を監視しなければならない。運転の最後あたりでは、少し気分が悪くなってしまった。
 帰り道でも、ルーシーの不満は収まらない。運動してストレスは発散したはずなのに。ワンワン吠えていたかと思ったら、今度はアウアウ言いながらキャリーの底を掘る。キャリーがズリズリと動く。たった一回のドライブで、後部座席より後ろのエリアは毛だらけ、芝生だらけになった。
 「アンタ、運転の練習するんやったら、ルーシーは載せんときや」と(た)。そんな恐ろしい。分かってますがな。「いや、コイツまた妙なクセ(掘り癖)をつけても困るしな」むー、運転以外にも気を遣わんといかんのか、厄介だ!
 そして日曜日。買い物に出かける時、ルーシーはお留守番。駐車場の柵を開けると、若干キュンキュンと鼻を鳴らしたものの、エンジン音を聞くと静かになった。どうやら1号ではないことに気が付いたらしい。その調子で車に乗っている間も静かにしてくれたら良いんだけど。