山歩き入門

 明日は雨かもしれないというので、謎の山公園へ(この名称を未だ使っているのは私だけ?)この公園は山の中にあるのだけれど、駐車場から、いつも芝生の広場の方へ突進してしまうので、山林に入ったことはなかった。少し芝生の上を走らせた後、ルーシーを連れて山の遊歩道を歩く。
 実はルーシーは山が大好きだ。自宅のすぐ側に山の遊歩道があるのだが、今でもここに入ると、ニオイを嗅ぎまくり、リードを引っ張りまくる。脳みそは本能に支配され、飼い主の声は完全に耳を素通りする。山に入ると、飼い主の存在を全く認識していないようだ。あらゆる茂みに頭を突っ込んで、確信があるかのようにどんどん独りで前に進んでしまう。友達のフラッシュ君は全く逆で、山に入ると緊張するので、ママさんの側を離れないそうだ。一緒に散歩をすると、涼しい顔のフラッシュママの横で、(あ)だけが引っ張り回され、腕が筋肉痛になる。
 以前、ルーシーと遊歩道の中で迷い、ガケのような場所を下りざるを得なかった。あまりに引っ張るので、うっかりリードを離した。ルーシーは茂みに飛び込んで、得体の知れない動物のウ○チに体をスリスリし、後で(あ)の大目玉を食らった。その時もルーシーは「なんで私が怒られなきゃいけないのよ!私の先祖は狼なのよ!」と本気で逆ギレ。先祖が狼なのかタヌキなのかは知らないが、山に入ると普段やらないようなことをやってしまう。ご先祖タヌキの霊にでも取り憑かれるのかも。
 という訳で(あ)個人としては、ルーシーと山については、あまり良い思い出はない。それでも、今日は時間が早かったこともあり、ちょっとだけ入ってみることにした。
 入り口から少し進んだところまでは、地面がフカフカしている。見ると木のチップが敷かれていた。進むにつれて階段が続き、メタボな私には少々キツイ。ちょっとしたハイキングコースだ。
 驚いたのは、ルーシーが(あ)に合わせて歩いていたことだ。確かにリードは引っ張る。しかし「待って」と声をかけると、その場で止まり、OKが出るまで待っていた。問題の帰り道は、階段の下りが続く。引っ張られるのはコワイので、試験的にリードを離す。ルーシーは先に進むものの、後ろを振り返り振り返り、こちらが来ているかを確認していた。こちらがルーシーを追い越すと、それを確認した後でまた先に進んでいく。これなら一緒にハイキングもできるかも。一方、ニオイ嗅ぎは止められないようだ。普段でも、シツコイほどにニオイを嗅ぐから、まぁ、しょうがないか。
 新たな発見に驚きながら、駐車場に向かって遊歩道を歩く。ここは入口と出口こそ階段だが、それ以外はなだらかでチップが敷かれているからフカフカだ。アンディ君と歩いても良いかも。ところが次の瞬間、ある物に目を奪われた。地盤を固めるために使われている木材に「マムシ注意、山に入るな」の文字。
 ゲ、忘れてた。そうそう、この近辺にはマムシがいるんだった!そろそろ出てくる季節かな?それにハチ。黒い犬はハチに刺されやすいと聞いた。ハイキングは良い運動だけれど、気を付けないとね。