楽しくやりたい

 雨が降って良いことは、長時間散歩に行かなくて良いこと。リードを掴み踏ん張っていると、腰ばかりか腕まで痛くなるもんで。悪いことは、家の中で遊んでやらなきゃいけないこと。狭いスペースでできる遊びは、限られているもんで。どっちにしても疲れますわ。はぁぁ〜(深いタメイキ)。
 ・・・しょうがないから、ダンスの復習でもするか。
 相変わらず、出来はルーシーの気分次第で、こちらはフラストレーションが貯まる一方だ。本人は眠い時、メンドクサイ時、コマンドを聞いても知らん顔を決め込む。A先生に言わせれば「犬にはダンスもベーシックも同じ事。やらないといけないことは、力ずくでもやらせないと。」とのこと。でも(あ)には、どうも抵抗があるんだよなぁ。
 抵抗の原因は、(あ)自身にある。元々ルーシーはダンスをやりたい訳ではない。そりゃ一緒にダンスらしきものをして、鈍くさいお母さんが間違えるのを見るのは大好きだ。けれど、ルーシー自身がやりたい事といえば、ディスクや駆けっこや取っ組み合いの方であって、断じてダンスではない。訓練の一部としてダンスを始め、これなら股関節形成不全でも、お互いに年をとっても続けられるかなと考えている。だから、ダンスにネガティブな印象を持たせたくない。なかなか叱れないのは、そのせいだ。
 「ムリでも苦手な技をさせて、できたら思いっきり褒めてやれば、その前に叱ったとしても大丈夫です。すべてはフォローが大事なんだから」と先生。
 −−−褒めることが、動機付けになるんだったらね。ルーシーは、叱られたことを執念深く覚えていて、その場では頑張るかもしれないけれど、次回はどんなに褒めても、自分からはやろうとしないし、特別なおやつでつろうとしても、モロに嫌そうな顔をする。それを見ると、こっちもやる気を失っちゃうんだよね。
 先週は、苦手なゴロンとロールを特訓したにも関わらず、音楽をかけると、その部分は知らん顔で伏せたまま。何回コマンドを出しても無視して、イントロ最後のアラウンドだけやろうとする。アラウンドからは自分の好きな技に入れるからだ。
 いい加減、先生もウンザリらしい。一週間の特訓で、ルーシーが苦手な技もできるようになったと思っていた(あ)は、「これでダメなら、もうムリ!」と弱音をぶちまけたところ、先生も「やらせるかどうかは、Iさん次第です。」と、突き放したコメント。そのとおりだから仕方がないんだけどさ。だけど、やっぱりダンスで叱るのはイヤだ。
 夕食を与えながらダンスの復習をしようとしたら、ルーシーはいきなりストライキ。指示を聞いても「フフフ」と小さく鼻を鳴らすばかり。
 頭に来た。毎日やっている事なのに。「ルーシー、しないの?しないんだったら、ご飯、要らないのね?」
 ご飯に人質にとるのだって、(あ)にとっては、やりたくないことだ。それでも力づくでやらせるよりはマシか。
 お皿を下げたら、ルーシーが「アレ?」という顔をした。その後、少しだけ改心したらしく指示に従ったが、なんだかナゲヤリ。ハンドとチェンジなんか、バシバシって相撲のツッパリみたいだった。こんなんで良いのか?気分屋だけど、自分のペースを乱されたくないって、一体誰に似たんだよ。後半は(あ)だけどさ。ええ。
 何でも良いからさ〜、一緒に楽しくやろうよ〜。なんかそういう物を見つけてよ〜(泣)。