おしくら問答

 明日で療養生活に入って3週間。掛かり付けの先生に触診をしてもらって、回復状況を診てもらう。「大丈夫ですね」の一言にホッとする。
 (あ)「前回の診察で、先生には後ろの両足の歩幅を見るように指示されました。今のルーシーは少し狭い気がしますが、どうでしょうか?それに、こちらは随分良くなったと思ってリハビリを始めたところ、先週、シツケ教室の先生に『足の運び方がいつもと違う』と言われ、他の飼い主さんからも同じ指摘を受けました。同じ物を見ていても、私には正直、分からないんです。どこをどう見たら良いのでしょうか?」
 先生には、実際にルーシーを診察台に立たせ、歩幅を診てもらって、どれくらいが痛んでいる状態かを見せてもらった。今のルーシーの歩幅は、前足の歩幅より少し狭い。実際に見せたところ、 先生は「これくらいだったら、大丈夫だと思います」
 そして股関節が痛んでいる時、後ろ足の歩幅をデモで見せてもらう。間が5センチ程度。極端に狭い。
 「歩幅を広くとるということは、後ろ足を斜めにして体重を支えることになります。股関節が痛い場合は、それが辛いはずですから、非常に歩幅が狭くなります。」
 (あ)「足の運び方がいつもと違うと言われて、よくよく観察するよう努めたんですが、『アレ?』と思う瞬間があっても、次の瞬間には普通の状態に戻ってしまうんです。これはどう考えたら良いのでしょうか?」
 先生「股関節の中の靱帯が、伸びてしまっていて、そのせいで動きがぎこちないことがあります。今の(ルーシーの)段階では痛みはないでしょうから、後は靱帯の治癒ですね。」
 ちなみに、靱帯の損傷には、今後2〜3ヶ月かかるそうだ。それまでは、地道に歩きのみの散歩を続けるべし、とのこと。トホホ〜。
 「犬が足をひきずっている時はともかく、犬の足の動きで、股関節の損傷程度を判断するのは難しいと思います。そういう時は足の爪を見て下さい。」
 痛みや違和感がある場合、犬は歩くときに、意識的か無意識かはともかく、極力足を挙げないようにするらしい。そうすると爪先で地面を引っ掻いて、爪に傷が入ることがある。
 ルーシーの場合、右の爪のうち一本の上部が少し傷ついていた。残念ながら、最近つけた傷なのかどうかは分からないとのこと。
 なお触診の後、先生は「この子は意外と股関節回りの筋肉が少ないですね」とのこと。ここだけを集中的に鍛える方法はないそうで、歩きか水泳くらいだとか。「水泳が良いんですけどね」療養生活をしている間に夏が終わっちゃったよ〜(泣)。
 (あ)「フリスビーやボール遊びはしないとしても、一人で走らせるのはどうでしょうか?」ルーシーは一人の時「ワンワワン」とかけ声をかけながら、駆け回っていることがあるんだけど。
 先生「フリスビーやボール遊びは、主に急停止、ジャンプ、急ターンが股関節に負担をかけるからダメなんですが、もうひとつ、ダッシュのスタートも問題です。」
 『よ〜い、ドン!』で駆け出す時、股関節に意外と負担がかかるそうだ。一人で走らせる場合、急なスタートは避けなければならないとのこと。
 「靱帯が治ったからといって、好き勝手に走らせてはダメですよ。また同じことになりますからね」
 (あ)「でも、先生の仰ることを聞くと、ルーシーは走っちゃダメと聞こえるんですけど・・・」
 先生「走ることを全面的に禁止する訳ではないですが、小走り程度だと思って下さい。走った後、速度を緩めながらストップするならOKです。」
 「キツイことを言うようですが、これからは新しい散歩の仕方に順応させなくてはいけません。最初は、この子もストレスを感じるでしょうが、犬の記憶のスパンは非常に短いですから、『昔よく走ったなぁ』なんてことは、すぐ忘れます。早い段階で、その生活に慣れさせてやる方が良いですよ」
 う〜ん、だけどそれって幸せなのかなぁ・・・?個々のワンちゃんの性格によると思うんだけど、ルーシーの場合、思い切り走って遊んでいる時の笑顔は、最高に幸せそうなんだよなぁ。それを取り上げて、この子を幸せにできるんだろうか?
 とりあえず、獣医さんに訊けることは全て訊いた。後は、ゆっくり新しい散歩メニューを考えることにしよう。