鳴り物大好き

 「秋近し」と言っても、日中はまだまだ暑いので、ルーシーの散歩は早朝。テクテク山道を歩いて、F中学校の側を通って池巡り。すると運動場のあちらこちらから「ピッピッ!」という笛の音が聞こえる。見れば、大勢の生徒さんが、ヒモで足を繋いで並んで走っている。ムカデ競争の練習か。他方では大縄跳び。9月に入って、どうやら小・中学校は運動会モードらしい。しかし、ムカデ競争と大縄跳びが、運動会の種目なのか?
 足元のルーシーは、どうやら「ピッピッ!」が非常に気になるらしい。柵の外から運動場を見つめて動こうとしない。その目は妙に真剣。羊の群れと勘違いしてるんじゃないよね?
 テクテク歩いて、今度はF小学校近くの公園を通る。朝礼の時間なのか、校庭に音楽が流れる。するとルーシーは、リードをグイグイ引っ張って行こうとする。お呼びじゃないって!!
 ルーシーは、子犬の頃から、鳴り物やお祭りが大好きだ。直ぐ側の小学校では、秋に運動会の練習をしているが、練習風景をじっと見つめていた。
 ひとつは、鳴り物がするところには人が集まっていて、自分を可愛がってくれる人がいると思っているかららしい。F公園では、毎年夏の終わりに、ステージが設けられ、ダンスや吹奏楽の演奏が見られるのだが、これもリードを引っ張って、(た)と一緒に見に行っているらしい。大きな音が苦手なワンちゃんも多いというのにフシギなヤツ。誰かに可愛がってもらいたい一心らしい。
 そんなに音楽が好きならと、歩きながら(あ)が「ポ〜ニョ、ポニョ、ポニョ」と歌ってみた。すると、始めこそ「ヘッ!」と笑顔を見せたが、そのうち道の真ん中に座って、後ろ足で身体を掻き始めた。「カンベンしてよ〜」ということか。ムカツク。
 ルーシーにも、心地よい音楽と聞くに堪えない雑音があるようで。・・・覚えてろよ。