(あ)の目標

 (あ)は、70代になったら仰木監督カットにして、紫に染めるつもりだ。実は、美容院で、よくこういう高齢のご婦人を多数見かける。なぜに紫のパンチなのか理解できないので、一回こういう髪型にしたら理解できるのかもしれんと思う。ただし、昔、茶髪にすると言ったら(た)に「頼むから止めてくれ」と懇願された経緯があるし、自分でも今すぐ紫パンチにトライする勇気がないので、「70代になったら」と自分を戒めているところだ。
 我が家のご近所は、ニュータウンの中でも最初に開発された地区なので、住民の平均年齢は高いし、ワンコもかなり高齢だ。それでも、ワンちゃんは皆しっかりした足取りで散歩している。やはり飼い主さんのケアが行き届いているのと、日常的に運動して筋力を維持している子が多いからだろう。
 今日の夕方も10歳超の柴犬と出会った。「口元だけじゃなく、ヒゲも白くなってるでしょ」と飼い主さん。それでも、足はしっかりと地面を踏みしめて、ルーシーに向かって「遊ぼう」とポーズをとる。別のワンちゃんの飼い主さんは「もう、おじいちゃんだから、外に出れただけで満足なのよ」と仰る。小さな体にくっついたブラシのような尻尾をフリフリして、ルーシーに近づく。鼻先をつけあわせて挨拶。耳や目は老化が進んでいるらしいが、積極的にニオイを嗅ごうとする。
 年をとれば、運動の量は減り、運動の質も変わるかもしれない。それでも、やはり外の刺激は重要なのだと思う。外の空気やワンコに触れることで、次の日も外へ出たいと思うかも。長い目で見ると、こうして運動能力が維持できるのではないだろうか?
 ルーシーは3歳だけど、この2日間は雨に閉じこめられて、排泄と歩きだけの散歩だった。当然、ほとんど他のワンちゃんに出会うこともなかった。すると、なんとなく表情が冴えなかった。ところが、今日の夕方は、他のワンちゃんや飼い主さん達にも会えた。公園で走らせたところ、アンディ君のママさんに「目がキラキラしているね」と言われた。ママさんに会えたことが、そうさせていると思う一方、やっぱり外の刺激を感じて、お友達のワンちゃんに会えることが嬉しいんだと思う。
 この公園には、足が不自由なワンちゃんをバギーに乗せて、外の空気や刺激に触れるチャンスを与えておられる飼い主さんも来られる。(あ)自身、特に夏の暑い時期は、ルーシーがいなかったら散歩しようなどとは思わないだろう。だけど、この飼い主さんは、汗だくになりながらも、傾斜のあるF公園まで連れてこられている。そして、当のワンちゃんはバギーの中でピョコピョコと小刻みに飛びながら、嬉しさを体で表現している。これらの飼い主さん達には、本当に頭が下がる。自分も同じ事ができるだろうか?正直なところ、あまり自信がない。
 それでも、出来る限り外に連れ出してやりたいと思っている。紫のパンチ姿で、ルーシーをバギーに乗せてF公園まで連れて行く。それが目下のところ(あ)の目標である。