ルーシーと音楽

 世間は三連休だが、我が家は通常どおり。(あ)も金曜日の夜になって仕事が入り、バタバタの週末。ず〜っとパソコンとにらめっこしていたら、頭が動かなくなってしまった。
 ANDYママさんから、F公園で行われる吹奏楽のイベントの情報をいただいた。ルーシーを連れて気分転換に出かける。ところが慌てて家を出たので、フードとカメラを忘れてしまった。
 出場者は、地域の高校のバンドらしい。この地域は吹奏楽に力を入れていて、ANDY君やチョビ太君のお姉ちゃんも、中学校で吹奏楽クラブに入り頑張っておられる。夏休み期間は、早い時間にルーシーの散歩に出かけるのだが、学校から小さな音だけれど音楽が流れてくる。高校でも吹奏楽は人気のクラブらしい。音楽が聞こえる間だけでもと、リズムに合わせて歩いてみると、ルーシーも「へへへ〜」と嬉しそうな顔を見せる。
 ただし、じっと静かに音楽を聴くのは別の話だ。当たり前だけど。
 N先生のワンちゃん同伴コンサートでは、必ず、大量のおやつを持参する。足元に座ったルーシーが文句を言い始めたら、すかさずフードを見せて静かにさせる。コンサートどころじゃないけど、静かに待つ練習にはなる。吠えたら罰金という制度がある一方で、我が家では事前にいくばくかを払っておくことにしている。吠えなかったとしても、そのお金は、恵まれないワンコの役に立ててもらえるだろうから。
 今日は会場に近づくにつれ、プップカプーという音に誘われたのか、ルーシーはリードをグイグイ引っ張っていく。人が集まるところが好きらしい。
 「アンディ君はいるかな?」と耳元で囁くと、ルーシーはキョロキョロと辺りを見回す。フフフ〜、姿が見えないのを確認してから、訊いてんだよ、こっちは。
 ところが次の瞬間、突然後ろ足で立ち上がった。自分が見えない場所にアンディ君がいたのかと、驚いて振り返ると『焼き芋』の表示。ちなみに隣は某ホテルの『牛スジカレー』だったけど、ルーシーの目は試食用の焼き芋にクギヅケ。試食を誘われ、手に少量を乗せてもらった。するとルーシーは、鼻を鳴らしてピョコピョコ飛び上がりながら「くれ〜!」と訴える。周囲の人たちの「え、犬が焼き芋を食べるの?」と驚く声に、思わず苦笑い。コイツは何でも美味しくいただくんですよ。
 フードもないし、しょうがないから焼き芋を買う。まだワンコが食べるには熱いので、小さな塊を手にとって、息を吹きかけて冷ましてから与える。しかし、これが大誤算。こちらがフーフーしている間に、ルーシーはず〜っと鼻を鳴らすのだ。焼き芋のニオイが鼻腔細胞いっぱいに広がって、たまらなかったのだろう。フーフー、ピーピー。吹奏楽を聴きたい人には大迷惑だ。
 「これはイカン」と焼き芋を片付けたら、今度は「くれ!」と吠える。ますますアカン〜!
 とても落ち着いて音楽を聴ける状態ではなかったので(というか、自分が招いた事態だけど)直ぐに退散。
 帰ろうとしたら、ルーシーは、また焼き芋コーナーへ乱入しようとした。いつの日か、静かに一緒に音楽を楽しめるようになるのだろうか(タメイキ)。