おかえりなさい

 昨日の夕方、F公園でコーギーのクッキー君とママさんに数週間ぶりに出会う。クッキー君は、最近手術を受けていた。手術は無事に終わり、明日抜糸するそうだ。
 クッキー君はボール遊びが大好きで、公園でもよくボールを追いかけて走っていた。仲良しのサンタ君やクーちゃんを見ると、お母さんに「ボールを投げて」と催促。得意なボール遊びで、仲間に格好良い姿を見せたいと思うらしい。実は、ルーシーのことがちょっと苦手。自分のお母さんには遠慮せずに飛びついて甘えるし、何かといえばガウガウ言うし、「オマエ、イキリ過ぎ」と注意したら逆ギレするからだ。
 ボール遊びに精を出しすぎて、これまでも何回か足を傷めることがあった。ちょっと太めの体格なので、ダイエットもしたそうだが、やはり歩くだけの散歩はつまらないし、ダイエットの効果も上がらない。それでも飼い主さんは、地道に努力されていた。F公園はすり鉢状になっているから、住宅地とは階段やスロープを上り下りして出入りする。階段を上る時は、毎回クッキー君を抱いて上がっておられた。クッキー君はルーシー並の体重があるから、米袋以上だ。この町には他にも公園はあるけれど、やはり友達はF公園に集まる。飼い主さんは、クッキー君が、ここに来るのを一番喜ぶからと考えられて、連れて来られていた。
 今回は獣医さんに診せたところ、傷めた足がおかしな方向に曲がり、2本の十字靱帯のうち、1本が切れかかっていると診断を受けたそうだ。
 手術の当日、動物病院に向かう前に散歩をさせていたら、仲良しのワンちゃんと出会って大興奮。走り回って、半月板も損傷。背中に腫瘍が発見され、それも一緒に手術されたという。
 2泊3日の入院が余程ショックだったのか、ストレス性の湿疹を発症。傷を舐めないようにとエリザベスカラーを装着したら、その部分が痒いらしく掻きむしる。見れば、首筋が赤くなり、カサブタができていた。
 一度に大変な目に遭ったクッキー君。昨日は2回りほど小さく見えた。後ろ足の動きは、まだまだ、おぼつかない。手術箇所の定着には時間がかかるし、入院生活で筋肉が落ちた。早く回復させるには、早期からのリハビリが肝心らしい。

 バーニーズのマロ君も、両方の後ろ足を手術した経験がある。元気になって走ることはできるけれど、散歩はもっぱら歩き。隣駅あたりから1時間以上も歩いているそうだ。
 この日、クッキー君が少しオドオドしていたのは、自分の体調がまだ本調子ではないからだろう。ルーシーはまるで遠慮せずに、クッキー君のママさんに「おやつ〜!!」と訴えていて、クッキー君はそちらを見ようともしない。それでも、他の飼い主さんに声をかけてもらい、体を撫でてもらって、ようやく笑顔を見せた。
 クッキー君のママさん曰く「先生に『もう、これまでみたいに走れないよ』って言われた」。今はリハビリを始めた段階だから、本人も走ろうとは思わないだろう。しかし元気になればなるほど、体力・筋力が回復すればするほど、クッキー君は走りたいと思うだろう。そして運動制限が難しくなる。
 ルーシーも、フリスビーで遊ぶ量を減らしている。疲れているように思えた時は、歩きと「ただ走り」の散歩。ボールもフリスビーも使わず、一人で走らせる。ただし、この「ただ走り」も問題がある。ダッシュのスタートも、股関節には負担になるそうだ。また「ただ走り」をさせると、最後は必ず走りながら尻尾を追いかけてしまい、スッテンコロリと転んでしまう。これで股関節には問題がないのかと少し気になるが、これ以上、本人の走りたい気持ちと運動制限のバランスを取る術が見つからない。(ちなみに水泳は、あまり得意ではないらしい。)
 負傷したワンちゃんは、傷自体が治っても、その後のケアが大変だ。体力があればあるほど、年齢が若ければ若いほど、走るのが好きなら好きであるほど、運動制限は難しい。場合によっては、運動制限とカロリー制限のバランスを取らないといけない。本人が「もう、ボクは元気になった」と思った時こそ、本当の意味でのケアが始まるのかもしれない。