困ったちゃん2

 覚えたはずのトリックが、しばらく練習しないうちに、できなくなっていることに愕然。こうなったら、一つ一つシラミ潰しに確認するしかないと腹をくくる。ただし、ルーシーが指示を理解した上でサボっているのか、指示がきちんと理解できていないのか、それとも他の問題でできなくなったのか−−見極めが難しい。いずれにしても、次に出そうと考えていた動作を、犬に読まれてしまっては、確認しようがない。
 という訳で、ひっかけ問題連発。イジワルに徹することにした。
 オシリ(横歩き)→オスワリ→ハンド(お手)のシークエンスでは、オスワリの指示を出した段階で、ルーシーの右の前足が上がってしまう。次に出される指示を読んでしまうのだ。
 まずは、オシリ→オスワリで一旦止める。「違うよ」と声をかけて、やり直す。それでも足が上がる。ルーシーは、鼻を鳴らして「ど〜して?やってるじゃん」と訴える。どうやら自分が右の前足を挙げている意識がないようだ。これは、かなり手強いぞ。
 「ルーシー、オスワリだよ」と声をかける。それでも分からない様子。次に、オスワリの後にハンドではなく、ベッグ(チンチン)をさせる。片足だけで床を蹴って上体を持ち上げるるのは難しいから、ちゃんと座るんじゃないかと思ったからだ。ところが、片足でも意外とベッグできちゃったりする(苦笑)。しかたがないので「伏せ」「オスワリ」をさせ、きちんと両の前足が地面についた状態で座ったことを確認して褒める。「そう、オスワリね」「グッド、オスワリしたね〜」ことさらに「オスワリ」という言葉を連発して褒める。
 もう一度、オシリ→オスワリを練習。今度は2回目で、きちんとオスワリして見せた。オシリで歩く距離を短くしたり長くしたりして、オシリ→オスワリを定着させる。ハンドシグナルは使わない。何回か繰り返した後に、距離に変化をつけながら、オシリ→オスワリ→ハンドのシークエンスも入れてみる。今度は、きちんと指示に従った。ヨシヨシ。
 ここまでで、こっちが疲れてしまったけれど、ルーシーには「次は何の指示を出すか分からないよ。お母さんに、しっかり集中して指示を理解しないとダメだよ」と教えたつもりだ。でも、あくまで、こっちの「ツモリ」なんだよなぁ。ルーシーは、そのことを理解しただろうか?
 ちなみに「くるん(スピン)」は大失敗。誘導のフードを、ルーシーの鼻先の下あたりに持っていこうとした。お尻を挙げさせるためには、頭を下げさせたら良いんじゃないかと思ったからだ。ところが、こちらが腰を折った途端、ルーシーはバウ(お辞儀)してしまった。んがぁぁ〜。
 しかし、くるんでお尻が下がる原因は分かった。ルーシーには、くるんを教えた時、360度きちんと回転させるため、ツイテの位置から回らせて、ツイテの位置に戻らせていた。戻ったところで座らせて、正しい位置にいるかどうかを本人に確認させていた。一方、ルーシーは、早くご褒美が欲しいあまり、位置確認のことはすっかり忘れて「ともかく座って終わらせちゃえ」と思ってしまったようだ。どこまでも、ややこしいヤツである。
 「立って」と声をかける。するとお尻は上がるものの、体が(あ)の足から離れて行ってしまう。
ムキ〜〜〜!どうせいっちゅーねん!!
 こういう地道な作業をしないと、確実にトリックを覚えたとは言えないんだろうなぁ。・・・にしても、道のりは遠いなぁ。