なんで、こーなるの?

 アメリカの犬に関する訴訟判決についての記事を見つけた。何回読んでも、どうも腑に落ちない。欽ち○んならずとも「なんで、こうなるの?」と言いたくなる。
 事件は、二匹の犬を飼う男性が失業し、引っ越しをするところから始まる。男性はガールフレンドの家では犬を飼うのは禁止されていたことから、新たに移転先を探さなければならなくなった。幸い、引っ越し先である家の所有者自身が犬を飼っており、裏にフェンス付きの広い庭を持っていた。男性は、所用のため車で出かける際、定期的に犬を載せて出かけていた。この日も食料品店に向かうところだった。ところが、男性が家の玄関から犬を出すと、犬は通りに飛び出して横断し、通行中の女性に3度、噛みついた。女性は16箇所の傷を負った(歯がつけた穴=1箇所という計算だろうか?)。
 この事件について、被害者の女性と夫は、家の所有者とその保険会社を相手取り、訴訟を起こした。一審の判決では請求は棄却されたが、控訴審では「犬を家から出したのが、家の所有者ではなく、犬の所有者であったとしても、犬が噛んだことで受けた負傷について、家の所有者は責任を負わなければならない」との判決が出された。ちなみに、犬の所有者である男性は、起訴された時には州外へ逃亡、行方は分からないという。
 一審の棄却理由は、「犬を家から出したのは犬の所有者であるため、州法に照らして、家の所有者は犬の管理者の定義に付合しない」ということだった。しかし被害者側は「州法によれば、犬を継続的に保護し住まいを提供する者は、犬の管理者である」と訴え、控訴した。犬が事件の4ヶ月前から、この家に住んでいたことから、「家の所有者は、州法上、犬の所有者とみなし、犬が起こした負傷について責任を負わなければならない」と一審判決の内容を覆す判断が新たに出された。
 控訴審では、裁判官の票決が2対1と分かれていた。2人の裁判官は「家の所有者は、依然犬を自分の家に飼っていることから、管理者としての地位を放棄していない。また、家の所有者の玄関から犬が飛び出して被害者を襲った」と主張。一方、反対の立場をとる裁判官は「犬が原因の傷害事件は、個々の事実に基づき判断されるべきであり、家の所有者は、犬の所有者が犬を追って家を出た段階で、犬の管理者としての地位を放棄したとみなすべきだ」と主張。
 訴訟大国アメリカだが、これは道理に合わない気がする。逃げた男性が一番悪いのに、なんでそいつから捕まえないんだろう?原告も原告だ。自分が受けた損害を取り戻せたら、それで良いのか?本当に責任のある人間から取り戻すべきじゃないのか?
 家の所有者は、間借り人の犬が起こした損害まで賠償しなければならないのなら、犬を飼っている人に誰が部屋を貸すだろうか?そして何よりも犬はどうなっちゃうんだろう?アメリカってコワイなぁ。