その手があったか!

 最近のルーシーは、見知らぬワンちゃんや、つきあいの浅いワンちゃんに対する反応が読めなくなってきた。相手から威嚇される場合にはともかく、自分からケンカを吹っかける場合があるのだ。
 今までは、そんなワンちゃんが近づいてきても「私はディスクで忙しい」と無視することが多かったのに、どうしちゃったんだろう?しかたがないので、他のワンちゃんの姿が見えたら「言わないよ」「行かないよ」と声をかけ呼び戻すことにしている。
 ルーシーが子犬だった頃、公園に来ていたワンちゃんは、随分と減ってしまった。減った数に比べると、新しく公園に出入りするようになったワンちゃんは少ない。皆さんがルーシーに対して優しくして下さったように、ルーシーも新入りさんには優しくして欲しいと思っているのだけれど・・・。
 最近の新入りさんで、シェルターから来た子がいる。もう高齢だというシェルティ(♀)ちゃんなのだが、やはり新しい環境に慣れるのには時間がかかるようで、公園ではよく吠えている。
 こちらとしては、少なくとも何事もなく同じ場所にいることができるか、挨拶を交わせるようにしたい。(年齢からいって一緒に走るのは無理だと思うので)しかし、前述の事情でルーシーを近づけることができない。飼い主さんには、事情を説明して「申し訳ないけれど、ルーシーを少しずつ近づけるようにさせてください」とお願いした。でも(あ)個人としては「これじゃ、いつまで経っても仲が良くならないだろうなぁ」と思う。今日も「(近づけても)大丈夫ですか?」と訊かれ「・・・ビミョ〜」と答える自分がいる。我ながら情けないが、相手に危害を与えることだけは避けなければならない。相手が吠えるワンちゃんであれば、ルーシーも興奮し易くなるし。
 飼い主さんは、少し離れた場所でシェルティと遊んでいた。意図的ではないにしろ、仲間外れにしているみたいで、すごく嫌だ。こういう状態では、犬同士が「相手は危害を与えない」という感触を得るまで待つしかないのかも。(あ)は、そう自分に言いきかせて、モヤモヤをおさせていた。
 帰宅する頃、バーニーズのマロ君とお姉さんがやって来た。マロ君は、とてもフレンドリーで、♂同士でもケンカをしたところを見たことがない。小さいことは気にしない、非常に優しいワンコである。一方、シェルティは初めて会うらしく、大きな体格のワンちゃんが近づいてきたので怖がって吠え始めた。
 すると、お姉さんは驚くことをした。マロ君を足の間に挟んで立たせたまま、クルリとお尻を向けたのである。
そして明るい声で「お尻どうぞ〜」と声をかけたのである。
 これには、正直なところ非常に感心した。ニオイで生理的に受け付けない子だっている。一回ニオイを嗅いだら、そういう子はすぐに態度に出るから、次から近づけないようにすれば良い。何よりも、相手が何者かが分からず、お互いを牽制し合うよりも、ずっと前向きではないか!
 うーむ、その手があったか!ちょっとした目からウロコだったよ。
 今度あの子にあったら、ルーシーにも同じ事をやってみたいんだけどなぁ。♀同士だとダメだろうか?