酔っぱらいども

 初夏の陽射しが降り注いで、ルーシーのような黒い犬には、そろそろ暑さ対策をしなくてはいけないようだ。
 山道の散歩も考えないといけないなぁ。昨日A公園の北側に行ったら「ハチに注意」の看板が出ていたし、近所の山道を歩いて帰宅したら、ダニが一匹、ルーシーの内股の毛に付いていたし。マムシが出てもおかしくないしね。
 ルーシーは、ちょっと走っただけでハァハァ言い、地面に伏せるようになってきた。背中の毛は、しつこくブラッシングを繰り返したので、随分と薄くなったが、ハラ毛をまだ蓄えているから、体の熱を発散できないのだろう。ファー○ネーターした方が良いのだろうか?
 全然関係ないけど、我が家の酔っぱらいには、ビールがさらに美味しい季節らしくて。(←ダンスの練習をしたのは私とルーシーだっつーの!)何かと口実を見つけては「ビールをいただきます」だって。金曜日も飲み会だったくせに。
 (た)がビールを開けると、ベッドで退屈こいてたルーシーが鼻をクンクン。ヨダレがタラタラとカーペットにこぼれる。どうやら(た)が以前ビールを飲ませたのに味をしめたらしい。
 「ん?オマエも味が分かるのか?」と(た)は妙に嬉しそうだ。我が家では、酔っぱらいは冷遇されているので(大体、なんで正体をなくすまで飲むのかね?意味分かんねーよ!冷遇も当然の裁きである←by (あ))、援軍を得たとばかりの態度。「オマエも飲むか?」と、器に少しばかりビールを入れ、水で薄めた物を差し出した。
 するとルーシーは、器のニオイを嗅ぎ、ヨダレを垂らしつつも口をつけようとせず、じっと(た)を見上げる。視線の先にはグラスに入った100%ビール。
 「水くさいらしいよ」と(あ)が言うと、(た)は「なんだよ、オマエは」とこぼしながら、器の液体を捨てて自分のグラスから器に少しビールを移してやった。ルーシーは一部始終を見ていたが、100%ビールを目の前に置かれたら飲み始めた。そして、飲み干した後は、カーペットに顔をこすりつけて「効ク〜ッ!」とのたうち回っていた(笑)。

 ルーシーは、自分自身を(た)と同等か、それ以上だと思っているらしい。だから、(た)の食べ物をねだることが多い。離れた場所にいる(た)がリンゴを食べる音を聞きつけて、吠えて要求することもしばしばだ。
 ちなみに(あ)は、(た)に言わせるとケチなので――というよりも、妙な癖をつけて要求してきたらメンドクサイから――自分の食べ物を与えることは少ない。人間の食べ物は、自分の食べ物ではないと思いこんでもらった方が、拾い食いなどのリスクが減る。それなのに(た)は、口にしてはいけない物を除き、味付けをされていない食べ物を与えることが多い。「ビタミンCにナトリウムが含有されている錠剤は一日1錠にしろ」とかウルサイくせに、そういうところは無頓着だ。
 予言しても良い。近い将来、(た)がビールを口にしたら、ルーシーは「チョーダイ攻撃」を仕掛けるようになるだろう。酔っぱらいが2匹に増えたら、(あ)は2匹とも家から放り出してやるつもりでいる。