ハラワタ沸騰寸前

 今日はシツケ教室へ。授業のことは後回しにして、ど〜も気になってしようがないことがある。先日書いた「差し上げます」のドーベルマンのことである。
 同じ教室にドーベルマンのパピーが通っていて、時折飼い主さんと挨拶を交わす。飼い主さんは、すでに成犬を飼われていて(ちなみに、ルーシーよりもずっと落ち着いている)、最近パピーを迎えられた。ルーシーは先生に甘えることしか頭にないので、パピーの姿はもはや視野に入っていない。先生に飛びついて甘える姿を見て、パピーは「なんだかなぁ」という顔で飼い主さんの顔を見上げていた。ドーベルマンという活動的な犬種のパピーとは思えないほど落ち着いていて、我が犬が4才になっても頭の中はパピーのままというのが、少々恥ずかしかった。
 「差し上げます」のドーベルマンをペットショップで見た時に、思い浮かんだのは、教室で会ったこのパピーである。ブラックタンで同じくらいの月齢。で、昨日の授業で先生にそのことを話した。
 先生は「え〜、タダなんですか?!」と驚いた後に「・・・なんか裏がありそうですね。」
 ○○君と同じぐらいの月齢だったんですけど。
「○○君は、誕生日が3月25日やなかったかなぁ〜?いや、確かな情報じゃないですけど」
 実は、○○君の誕生日がその日なら、ペットショップのパピーも同じ誕生日に生まれたことになる。もしかして兄弟か?
 「実は○○君、先天性の病気がありましてね。飼い主さんは、そのことをご承知の上で購入されたそうです。」
 え〜、じゃあ、あの子もそうかもしれないってこと?
 「ペットショップは違いますよ。空港近隣のペットショップで購入されたそうですから」
 (あ)が行ったペットショップでは、件のドーベルマンについて、「体に問題はない」とはっきり言っていた。同じ病気だとしたら、ペットショップはその情報を入手しながら、隠したままで飼い主を見つけようとしているのか?だから「差し上げます」なのか?
 ルーシーが股関節形成不全だと分かった時、(あ)は同じペットショップに行き「同じボーダーコリーの両親から生まれた子は同じ病気になる可能性が高いので、購入しないでください。同じブリーダーから購入しない方がありがたいですけれど。ルーシーみたいな遺伝の病気を持った子は1匹で充分ですから。」とお願いした。
ペットショップの店員は、(あ)の申し入れを始めは賠償か返金の要求だと思ったらしく拒否反応を示したが、その後、殊勝な態度で「申し訳ありません」を繰り返し「本社に伝えます」と約束した。少しは生命を扱う仕事だという気持ちになってくれたかと、その時は思ったのに・・・。
 法律のことを言えば、ペットの購入は物品購入契約(「物品」だよ、物品!)に基づく取引であり、ペットショップにいる時点で商品に瑕疵があると分かれば、ペットショップ側の責任で補償の対象になり得るが、その後に瑕疵があることが判明すると、購入者側の責任になる。ちなみに、この場合の補償とは、第一に別の犬と取り替えることであり、代わりの犬がいなければ、返金ということらしい。瑕疵とか取り替えとか、生命を扱っているという温かさは全く感じられない。
 2匹に血縁関係があるかどうかは、今の段階で確認がとれていない。だから、ペットショップの名称をここに書くのは控えたいと思う。しかし、もし血縁関係にあるのなら、(あ)は営業妨害と言われようが、はっきりと書いてやる。少なくとも店員は、あの家族に病気のことを言っていなかったし、(あ)にも「問題はない」と明言したのだから。
 犬を飼って4年になるが、その間「ペットになる動物とは本当に可哀想かもしれない」と思うようになった。他の種(人間)に、自分の運命がこうも左右される動物は他にいないのではないだろうか?ある犬は−それが幸せかどうかは分からないけど−毎年誕生会を開いてもらって、ある猫は生まれて直ぐ「処分」(耳障りの柔らかい言葉で誤魔化しているところに、ますます腹が立つ)されている。また、ある爬虫類は金儲けの対象になり、ある犬は老犬になったから、病気だからと捨てられる。すべては人間の思惑で運命が決まる。食物連鎖とは異なる関係で、生死を左右される動物なんて、他にいないのではないか?
 ペットで商売する人間は−ペットショップだろうがブリーダーだろうが−そのことをよく考えて欲しい。そして犬が人に寄り添いながら、両方が笑顔になれるように努力して欲しいものだ。