やらないといけないこと

 またまたマテ練習の話に戻る。そもそもマテは得意だったはずのルーシー。最近になってマテが苦手になってきた。マテの間に先生が繰り出す誘惑に耐えられず、かといって誘惑に乗ったら(あ)に叱られる(「叱る」ったって「あっ!」とか「コラ!」とか言われて、所定位置のマットに戻されるだけなんだけど)。葛藤の末にルーシーが選んだ道は、誘惑から逃げることだった。
 内心「これじゃ逆効果じゃないか?得意なことまで苦手になってしまう。」と少々焦って、先生にいくつか質問したのだが、先生の意見は一貫していた。
 1. ルーシーに緊張感がない。その原因は(あ)にある。指示の出し方が優しすぎる。それに、ちょっとマテができたからと言って、直ぐに褒めてしまうから(解除はしなくても)ルーシーはだらけてしまう。→マテの場合は、褒めるのは最後の最後だけと釘を刺された。
 2. 注意のタイミングが遅い。動きそうになった瞬間に、駆け寄って注意しないとダメ。ただし、(あ)は部屋の外にいて、置かれたカートの影から見張っている。カートのせいでルーシーの詳しい表情が見えないので、なかなか難しいけど。
 3. ルーシーには「やらなきゃいけないこと」だと思わせなければならない。指示に従えば褒められて、おやつをもらえる。それは強化の方法としては正しい。ただし、それは犬に対して暗に「従わなくても良い」という選択肢を与えることになる。やらなきゃいけないことは、やらなきゃダメだと理解させなくてはならない。
 で、先生に言わせると
「ルーシーはできます!問題はIさんにある!」
「(4歳という年齢を考えれば)もう、そういう時期なんですよ」
 ところが、何回やり直してもダメ。声の調子を変えても、こまめに注意を与えても、ルーシーはコソコソと逃げ出す。耳を倒し恐怖の表情を浮かべている。こりゃ、ますますダメなんじゃないの?
先生が「リードを着用させて下さい」とアドバイス。ロングリードは今、持ってないんだけどなぁ。「普通ので結構です」
 リードを付ける時、ルーシーは顔を背けていた。「もう一度、マテさせてみましょう」もちろんリードは誰も握っていない。
 すると、ルーシーは動きそうになったものの、その瞬間に室外から(あ)に「あっ!」と声を掛けられて、思い直した。思い直した瞬間に声をかけてやりたかったが、先生に釘を刺されたのでそのまま。そして、ルーシーは、なんとか3分間を耐えきった。
 リードは、ルーシーにとっては「自由にできない」象徴なのだ。リードを着用したら、好き勝手はできない。物理的に無理だ。イヤでも飼い主の指示に従うしかないと思ったらしい。
 普段の生活では、ゴハンを前にして、ルーシーは15〜20分くらい平気で待てる。(あれ?ヨダレの海ができるのは、平気じゃないってことか?ん〜、じゃあ「なんとか待てる」にしよう)(あ)は、その間、別室でテレビを見ている。ルーシーの方は一切見ない。ちなみに、20分以上になると、胸毛をヨダレがつたい落ち、そのうち滝ができて、掃除以外に、ルーシーの体を拭く手間が増えるので20分までとしている(笑)。
 ところが教室で先生と練習すると、たかだか3分でも難しい。状況にかかわらず、教えたことができるって、本当に難しいことなんだなぁと実感した。